ピート・ターナー

ピート・ターナー

ピート・ターナー（Pete Turner、1934年5月30日 - 2017年9月18日）は、その独自の鮮やかな色彩表現で国際的に評価されたアメリカ合衆国の写真家です。彼の作品は、写真界に新たな視覚的インパクトをもたらしました。

生涯と業績

ターナーの写真への情熱は1945年に芽生え、特にカラー写真の表現に深く取り組むようになったのは1948年頃からです。写真教育のため、1952年にロチェスター工科大学に入学。ここではラルフ・ハタズリー、ロバート・バグビー、レス・ストローベル、マイナー・ホワイト、ブルース・デヴィッドソン、ジェリー・ユルズマンといった、後に著名となる多くの写真家たちと同期として学びました。大学卒業後間もない1956年には、早くも彼の作品が写真専門誌「ポピュラー・フォトグラフィー・アニュアル」に掲載され、その才能が認められます。その後、陸軍の色彩研究所での勤務経験も積みました。

彼のキャリアにおいて重要な転機となったのは、音楽プロデューサーのクリード・テイラーとの出会いです。1959年から、ターナーはジャズを中心に多くのレコードジャケット写真を手がけるようになります。初期は主にミュージシャンのポートレイトを撮影していましたが、次第に抽象的なイメージや大胆な構図の風景写真なども取り入れるようになりました。特にCTIレコードの象徴的なジャケットデザインに彼の写真が多く使用されています。

また、報道写真の分野でも積極的に活動しました。1959年にはケープタウンからカイロへと至るアフリカ大陸縦断の撮影プロジェクトに着手。1961年には、エスクァイア誌にアメリカの鉄道に関するフォトエッセイを発表しています。写真家としての評価を確固たるものとしたのは、1968年にフォトキナとジョージ・イーストマン・ハウスで開催された初の個展です。

評価と影響

写真評論家のA.D.コールマンは、ターナーの作品にしばしば見られる特徴を「劇的で力強い色彩と、言葉に尽くせないほどの明晰な客観性の融合」と評しました。彼の功績は業界でも高く評価されており、アメリカの業界誌「フォト・ディストリクト・ニューズ」は1981年にターナーを「史上最も影響力のある写真家20名」の一人に選出しています。さらに、アメリカ・メディア写真家協会 (ASMP) からも、その卓越した写真表現に対して優秀写真賞が授与されました。

ピート・ターナーの作品は、その芸術的価値から世界中の主要な美術館に収蔵されています。具体的には、パリのヨーロッパ写真美術館、東京都写真美術館、ニューヨークの国際写真センターなどが彼の作品を恒久コレクションとして所蔵しています。ロチェスターにあるジョージ・イーストマン・ハウスは特に多くのターナー作品を保有しており、2007年には彼の広範なキャリアを包括的に振り返る大規模な回顧展を開催しました。

晩年、ピート・ターナーは病と闘い、2017年9月18日、長年生活の拠点としていたロングアイランドの自宅にて、癌のため惜しまれつつ逝去しました。

主な作品集

『ピート・ターナー・フォトグラフス』（Abrams Books, 1986年） - 初の本格的な作品集。
『ピート・ターナー・アフリカン・ジャーニー』（Graphis Incorporated, 2001年） - アフリカ紀行を中心に構成された写真集。
* 『ザ・カラー・オブ・ジャズ』（RCS Media Group, 2006年） - CTIレコードをはじめとするジャズアルバムのLPジャケット写真をまとめた一冊。

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