ファハド装甲兵員輸送車

ファハド装甲兵員輸送車

ファハド装甲兵員輸送車は、エジプトで開発された4輪式の装甲兵員輸送車です。エジプト軍における旧式車両の後継として、その開発が始まりました。

概要

ファハドは、ドイツのティッセン＝ヘンシェル社が、メルセデス・ベンツのトラックの車台をベースに装甲車体を組み合わせるという設計で誕生しました。既存の装甲車と比較して、小型軽量であり、運用コストが低いという利点があります。高い機動性と柔軟な設計により、軍事用途だけでなく、国内の治安維持任務にも対応できます。

車体構造

車体は、均質圧延鋼装甲板を溶接して製造されており、7.62mm徹甲弾や榴弾の破片に対する防御力を持っています。特徴的なのは、バスのような形状の正面で、大きな防弾ガラスが良好な視界を確保します。必要に応じて、ガラス部分に装甲板を追加することも可能です。

武装として、車体上部の兵員区画ハッチや車長席のキューポラに、最大3挺の機関銃を搭載できます。主に使用されるのは7.62mm口径のPKM汎用機関銃ですが、他の汎用機関銃も搭載可能です。

高い路外機動力を持ち、最大80%の勾配を登坂でき、左右30%までの傾斜にも対応可能です。ただし、水上浮航能力は有していません。

派生型

ファハド240: 基本型であり、後期型ではメルセデス・ベンツのシャーシを使用し、エンジンを強化、装甲を強化しています。兵員10名を収容可能で、7.62mm機関銃を装備します。20mm機関砲やミサイルも搭載可能です。
ファハド240回収修理車: 油圧式クレーンを搭載し、最大13tの重量物を持ち上げることができます。
ファハド240救急車: 最大8名の負傷兵を搬送可能で、医療器具を搭載しています。
ファハド240地雷埋設車: 対戦車地雷を自動で埋設するための装置を搭載しています。
ファハド240指揮通信車: 無線通信機を搭載し、指揮統制をサポートします。
ファハド280: 歩兵戦闘車仕様で、SAMM社製のBTM-208電動式旋回砲塔を搭載し、12.7mm重機関銃と同軸7.62mm機関銃を装備しています。
ファハド280暴動鎮圧車両: 放水銃や催涙ガス弾発射機などを装備し、治安維持活動に特化しています。
ファハド280-30歩兵戦闘車: BMP-2の砲塔を搭載し、火力を強化したモデルです。ただし、兵員搭乗数は減少しています。

採用国

エジプトを始め、クウェート、アルジェリア、スーダン、コンゴ民主共和国、イラク、オマーン、バングラデシュなど、多くの国で採用されています。エジプト軍では、国連平和維持活動にも投入されています。

イラクはクウェート侵攻時に鹵獲したものを運用していました。

関連項目

装甲兵員輸送車
BTR-90
歩兵戦闘車
BMP-2

外部リンク

Military-Today.com（英語）
GlobalSecurity.com（英語）

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