BTR-90

BTR-90 概要

BTR-90（ロシア語：БТР-90）は、ロシア連邦が開発した装輪式の水陸両用装甲兵員輸送車です。別名GAZ-5923とも称され、主にロシアの軍事運用および輸出を意識して設計されています。

開発の経緯

BTR-90の開発が始まったのは1994年で、これは従来のBTR-80兵員輸送車の後継機に対する需要に応える形で進められました。この新機体は、自国の軍事力向上を目的としつつ、海外市場への進出による外貨獲得も狙っていました。それに伴い、最初は試作車両が数台製造され、2004年までロシア陸軍による試験運用が行われました。その後、正式に実戦部隊に配備されました。実際の運用については、ウクライナにいくつか輸出されましたが、その目的は実用的なものよりも比較研究が主でした。

一時はアラブ首長国連邦（UAE）への輸出も考えられましたが、2011年にロシア国防省が国内導入と輸出プログラムの停止を決定しました。さらに2013年以降、BTR-90を無人戦闘車両の基盤として利用する試みがありましたが、2020年時点での進展は確認されていません。

車体の特徴

BTR-90の車体は、先代のBTR-80よりも若干大きく、強化された装甲が施されています。車体下部はV字型で設計されており、これは高い耐地雷性をもたらしています。この形状は舟形底部とも呼ばれ、水中での移動能力を向上させる効果もあります。

BTR-90は、長さ、幅、高さが共に増加しているにも関わらず、機動性が大きく改善されています。また、車輪を左右で異なる方向に回転させることによって、超信地旋回が可能です。エンジンは後部に配置されており、兵士は側面のハッチを利用して車両に出入りします。しかし、この設計はエンジン前方配置の車両と比べて一部不便があるため、派生型の開発が難しいという欠点も抱えています。

武装について

BTR-90の武装は、BMP-2の設計を元にした2名用の砲塔を搭載しており、スタビライザー付きの2A42 30mm機関砲（弾薬500発）と同軸のPKT 7.62mm機関銃（弾薬2,000発）を備えています。さらに、昼夜兼用の照準器BPKZ-42や、昼間用の1P-13照準器も標準装備されています。また、コンピュータ化された自動射撃管制装置はオプションです。

加えて、副武装として砲塔の上に軽機関銃や自動擲弾発射器を選択的に搭載可能です。対[[戦車ミサイル]]も選択肢として用意されており、最大4基の9K113対[[戦車ミサイル]]を装備することもできます。これに加えて、試作された自走砲型は、100mmや125mmの低圧砲を搭載した仕様が考案されています。

装甲性能

BTR-90の装甲は、車体および砲塔の前面に約20〜30mm厚の防弾鋼板を使用しており、14.5mm重機関銃の射撃を防ぐことができるレベルとされています。

運用国

BTR-90は主にロシアとウクライナで運用されています。

メディア登場事例

いくつかのアニメやゲームにも登場しており、『魔法少女特殊戦あすか』ではロシア軍に所属する車両として描かれています。また、ゲーム『ARMA 2』や『ゴーストリコン フューチャーソルジャー』、『バトルフィールドシリーズ』にもロシア連邦軍の兵器として実装されています。

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