ファミリー軍団

ファミリー軍団：レジェンドレスラーが集結したプロレスユニット

1989年、全日本プロレスにおいて、後年プロレス史に名を刻むことになるユニット「ファミリー軍団」が結成されました。その始まりは、1988年後半、ジャイアント馬場とラッシャー木村による義兄弟タッグでした。第一線から退きつつあった両雄は、1989年のスーパー・パワー・シリーズ以降、ザ・グレート・カブキや百田光雄といったベテラン、そして若手選手を加え、ファミリー軍団を正式に発足させます。

ファミ悪決戦：伝説の抗争

ファミリー軍団の最大のライバルは、渕正信、永源遙、大熊元司らによる「悪役商会」でした。両軍の抗争は「ファミ悪決戦」と呼ばれ、全日本プロレスにおける一大イベントとして、多くのファンを熱狂させました。休憩前のメインイベントを飾ることも多く、その人気は絶大でした。試合前の握手で始まる独特の演出や、試合中のコミカルなやり取り、そして馬場や木村の老練な技と若手選手の勢いあふれるファイトが織りなす、予測不能な展開に観客は魅了されました。

メンバーと準メンバー：豪華な顔ぶれ

ファミリー軍団には、プロレス界のレジェンドであるジャイアント馬場とラッシャー木村の他に、ザ・グレート・カブキ（1989年から1990年のSWS移籍まで）、百田光雄らが中心メンバーとして名を連ねました。また、若手時代の小橋健太や、アンドレ・ザ・ジャイアント、泉田竜舞（後に悪役商会入り）、ジャンボ鶴田（長期欠場後のスポット参戦時）なども準メンバーとして参加するなど、豪華な顔ぶれが特徴でした。鶴見五郎もファミリー軍団入りを志願しましたが、SWS移籍により実現しませんでした。

1999年、馬場の逝去とプロレスリング・ノアへの移籍

1999年、馬場の逝去という大きな出来事を迎えます。その後、木村がファミリー軍団の大将となり、若手選手を加えながら、フレッシュさと老獪さを兼ね備えたファイトスタイルを展開しました。しかし、2000年に全日本プロレスが分裂すると、木村と百田はプロレスリング・ノアに移籍。そこでチームは「色男軍」と改称し、新たな戦いの幕を開けました。対する悪役商会は「男前軍」と改名しています。

ファミ悪決戦の終焉とその後

木村の長期欠場（2004年引退）、そして永源の引退により、「ファミ悪決戦」は終焉を迎えます。その後、百田は男前軍のリーダーであった永源とシングルマッチを繰り広げましたが、これも永源の引退によって幕を閉じました。

ファミ悪決戦：主な試合展開

ファミ悪決戦は独特の展開で知られていました。試合開始前の握手、百田と永源の先発、コーナーでの「オー！」のポーズ、永源のジャイアントスイング（渕による摩擦熱を生むバージョンも）、永源の場外への唾攻撃（馬場の水平チョップで発射されることも）、馬場の十六文キック、そして木村のマイクパフォーマンスなど、笑いと興奮が入り混じる独特の展開が観客を魅了しました。

レアカード：三沢光晴の参戦

1992年のチャンピオン・カーニバルでは、当時超世代軍のリーダーとして絶大な人気を誇っていた三沢光晴が、相手選手の欠場により予定されていた試合が中止。急遽、ファミリー軍団VS悪役商会の試合に出場し、馬場・木村・三沢組VS渕・永源・大熊組という、まさに夢のカードが実現しました。この試合は全日本プロレス中継内の「プロレスニュース」でダイジェスト放送されました。

ファミリー軍団は、その華麗なるメンバーと、ライバルユニットとの激闘によって、プロレス史に輝く一時代を築き上げました。その伝説は、今もなお多くのプロレスファンに語り継がれています。

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