大熊元司

大熊元司：力士からプロレスラーへ、リングにかけた生涯

大熊元司（おおくまもとし）は、1941年12月18日生まれ、1992年12月27日没のプロレスラーです。埼玉県草加市出身。大相撲、そしてプロレス界で活躍した、忘れがたい存在でした。

大相撲時代とプロレス転向

中学校卒業後、大熊元司は伊勢ヶ濱部屋に入門。1957年5月場所、大熊というしこ名で初土俵を踏みました。その後、崎錦（さきにしき）と四股名を変更しますが、幕下93枚目が最高位となり、1962年5月場所を最後に大相撲を廃業します。

同年5月、日本プロレスに入門。わずか1ヶ月後の6月5日、名古屋市金山体育館大会でプロレスデビューを果たしました。当初は「大熊熊五郎」というリングネームでしたが、後に本名に戻しています。巨人の大ファンでもあり、全選手の背番号を言い当てるほどでした。

激動のキャリアと数々のタイトル獲得

1965年11月、韓国で開催された5カ国親善プロレス試合で「大熊リンチ事件」が発生。この事件は韓国プロレス界にも大きな影響を与えました。

1967年にはグレート小鹿と共にアメリカへ。テネシーおよびジョージア地区で活躍し、NWA世界タッグ王座を獲得します。しかしホームシックのため帰国。その後、再渡米し、フロリダ、テキサス州アマリロ地区で活躍。NWAウエスタン・ステーツ・タッグ王座を獲得するなど、アメリカでも成功を収めました。

1972年、ジャイアント馬場率いる全日本プロレスに移籍。小鹿との「極道コンビ」でアジアタッグ王座を4度獲得するなど、タッグ戦線で活躍しました。

カナダ遠征では「グレート・クマ」として北米ヘビー級王座を2度獲得。帰国後も、スタン・ハンセン、阿修羅・原、長州力といったトップレスラーと対戦しました。

悪役商会と晩年

現役晩年は永源遙、渕正信らと「悪役商会」を結成。馬場やラッシャー木村率いるファミリー軍団と、コミカルな試合を展開しました。「グリコポーズ」は彼のおなじみのアピールでした。

1992年12月4日、日本武道館でのアンドレ・ザ・ジャイアントとの試合が最後の試合となりました。そして、12月27日、急性腎不全のため51歳で急逝しました。

大熊元司の強さと人間性

大熊元司は頑丈な体格と酒豪としても知られていました。食堂車で酒をすべて飲み干すなど、豪快なエピソードも数多く残っています。しかし、死因が急性腎不全だったことから、アルコールの過剰摂取が健康に影響を与えていた可能性も否定できません。

清美川梅之とは親戚関係にあり、大相撲時代も同部屋だったという縁も。ジャイアント馬場からの信頼も厚く、全日本プロレス設立にも貢献しました。小橋建太のデビュー戦の相手を務めたことも。

グレート小鹿との絆も深く、アメリカ修行を途中で断念した大熊を、小鹿はシングル王座に挑戦する際に応援に呼んだというエピソードは、二人の強い友情を示すものです。

得意技はボディプレス、ヘッドバット、ランニングヘッドバット、鼻バットなど。豪快なファイトスタイルで、多くのファンを魅了しました。

大熊元司は、大相撲からプロレスへと転身し、数々のタイトルを獲得、個性豊かなレスラーとして長く記憶される存在となりました。彼の生き様は、プロレスラーとしての情熱と、人間としての魅力を余すことなく示しています。

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