ファラガット級ミサイル駆逐艦 (1958年)

ファラガット級ミサイル駆逐艦について

ファラガット級ミサイル駆逐艦（Farragut-class destroyers）は、アメリカ海軍のミサイル艦の一種で、1956年と1957年度に計画されて10隻が建造され、1960年から順次就役を開始しました。この艦級は、当初はミサイル・フリゲート（DLG）として設計された後、1975年にミサイル駆逐艦（DDG）に再分類されました。

来歴

第二次世界大戦後の駆逐艦の必要性については、1946年の駆逐艦研究会での検討が行われ、1948年度にはミッチャー級駆逐艦が建造される運びとなりました。戦後、雷撃戦の重要性が低下し、対潜兵器の向上が求められる中で、アメリカ海軍はより大型の艦を建造する必要に迫られましたが、財政的な制約から早急な量産は難しい状況でした。そのため、比較的小型で安価なフォレスト・シャーマン級の駆逐艦が1953年度から建造を開始されています。

1954年には新たな艦隊護衛艦の設計が求められ、海軍は高速で機動する空母戦闘群を護衛するための艦艇の開発を始めました。このような状況の中で、ファラガット級がミッチャー級の発展型として設計されることとなり、1956年度計画で建造が開始されました。

また、艦対空ミサイルの開発が進む中、テリアミサイルの実用化も果たされ、これに対応する形でファラガット級も防空ミサイル艦として計画され、最初のミサイル嚮導駆逐艦（DLG）として影響を持ちました。

設計

ファラガット級の設計は、ミッチャー級の発展型であり、同航空艦艇の設計設計思想を反映しています。そのため、艦艇は平甲板の形状を持ちつつも、テリア・システムおよび各種電子機器を収容するために排水量が増大し、上部構造物が大型化しました。

動力はミッチャー級後期艦と同様の高圧高温ボイラーを使用し、艦の機関配置は変更されています。複数の艦室が連なり、効率的なレイアウトが考慮されています。

装備

ファラガット級の搭載装備には、対空検索レーダーとしてAN/SPS-29、対水上検索用にAN/SPS-10を基盤とするレーダーが含まれています。また、アメリカ海軍初の実用3次元レーダーであるAN/SPS-39が搭載され、多層的な防空能力を強化しました。

音響目標追尾や探知のためのソナーにはAN/SQS-23が用いられ、従来の捜索用とは異なる方式で警戒行動が可能となりました。さらに、艦載された海軍戦術情報システム（NTDS）は、艦隊の運用効率を向上させ、1963年に正式採用されることに繋がりました。

武器システム

ファラガット級の主砲装備は、54口径127mm単装速射砲に加えて、後甲板にはテリア・システム搭載用のMk.10ミサイル発射機が設置されています。艦載のミサイルは、RIM-67 スタンダードERに更新され、当初の計画以上の防空能力を誇ります。

運用史

この艦級はその広域防空能力から高く評価され、ターター・システム搭載艦（チャールズ・F・アダムズ級）と共に艦隊防空の一翼を担いました。最終的に1993年まで運用され、84年間の艦艇としての活躍を経て、運用が終了しました。

ファラガット級は、アメリカ海軍の駆逐艦の一つとしての重要な歴史を刻み、今後の艦船設計に影響を与える存在として記憶されることでしょう。

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