ファリス系

ファリス系：栄光と衰退の父系ライン

ファリス系は、サラブレッドの父系をたどる血統ラインの一つです。その名の通り、フランスで活躍した種牡馬Pharisを始祖としています。Pharis自身、リーディングサイアーを獲得するなど輝かしい戦績を残しましたが、ファリス系の隆盛を決定づけたのは、その子であるPardalの活躍でした。Pardalは種牡馬としてイギリスで高い評価を受け、リーディングサイアー上位に名を連ね、1950～60年代にかけてファリス系の全盛期を築き上げました。

日本の競馬界においても、ファリス系は無視できない存在感を示しました。皐月賞で2着に好走したアスカなど、活躍馬を輩出したことで注目を集め、多くのファリス系種牡馬が輸入されました。当時、国内の種牡馬の活躍が低迷する中、東京優駿（日本ダービー）を制したロングエースは、宝塚記念優勝馬テルテンリュウを産むなど、一定の成功を収めました。

しかし、ファリス系の勢力は欧州においては衰退の一途をたどります。ブラジルやニュージーランドなどへの輸出が盛んに行われ、これらの国々でクラシックホースを輩出するなど、その血統は海外でも高く評価されていました。皮肉にも、この輸出が欧州におけるファリス系の絶滅を招いたと言えるでしょう。現在、欧州ではファリス系の種牡馬は確認されておらず、ブラジルやチリでもその存在は確認されていません。

日本においても、ファリス系の存続は危うい状況にあります。突然変異による白毛馬であるハクタイユーが、その希少性ゆえにサイアーラインを繋いでいましたが、その子であるハクタイヨーは種付けを行うことなく2020年に死亡しました。現在、ハクタイユーの系統以外でファリス系の血統馬が確認されているという情報は存在しません。

ファリス系は、その歴史において数々の名馬を輩出し、競馬史に名を刻みました。しかし、現代においては、その血統はほとんど途絶え、存続の危機に瀕していると言えるでしょう。かつての栄光を振り返りつつ、ファリス系の歴史に思いを馳せることは、競馬の歴史を学ぶ上で重要な意味を持つと言えるのではないでしょうか。

サイアーライン

ファリス系のサイアーラインは、全て種牡馬として活躍した馬たちによって構成されています。この系統図からは、各世代における代表的な産駒の活躍が見て取れ、ファリス系の隆盛と衰退の歴史を物語っています。残念ながら、現在ではその血脈は細り、将来の存続は不透明な状況です。 →印は牝馬・セン馬の代表産駒の一部を示しています。

(※ 脚注は原文に含まれていなかったため、ここでは省略しています。)

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