ファルナバゾス (提督)

ファルナバゾスの略歴と役割

ファルナバゾス（Φαρνάβαζος、ラテン文字転記: Pharnabazos）は、紀元前370年頃に活躍したアケメネス朝ペルシアの提督です。彼はペルシアの貴族アルタバゾスの子孫であり、その生涯は古代における軍事的な戦略と政治的な動きに満ちています。

背景と初期の活動

紀元前334年、ペルシアはマケドニアの王アレクサンドロス3世からの侵攻を受け、特にグラニコス川の戦いでは小アジアの太守連合軍がマケドニア軍に敗れました。この状況下で、ファルナバゾスはギリシアの将軍メムノン（彼にとってはおじにあたる）の指揮のもと、エーゲ海においてマケドニア軍に対抗すべく海上反攻するための行動を開始しました。

しかし、紀元前333年、メムノンがミュティレネ封鎖作戦において亡くなると、ファルナバゾスはアウトプラダテスと共にその任務を引き継ぎ、総指揮を執ることになります。その後、彼は紀元前386年に締結されたアンタルキダスの和約を根拠にミュティレネと協定を結び、同盟者として組み込むことに成功しました。

軍事行動と艦隊の指揮

ファルナバゾスは外人傭兵部隊を率いてリュキアへ進軍し、メムノンの弟の子供であるテュモンダスに指揮を委ねた後、アウトプラダテスと合流しました。また、彼は将軍ダタメスに三段櫂船10隻をキュクラデス諸島に派遣し、自らは100隻の艦隊を指揮してテネドス島に向かいました。

紀元前333年、イッソスの戦いの時には、ファルナバゾスはキオス島に駐留し、同時に艦隊の一部をコスとハリカルナッソスに派遣しました。彼は100隻の艦を率いてシプノス島とアンドロス島を占領しました。この時点で、ペルシア軍が敗北したことによって状況が変化することを察知したファルナバゾスは、キオスに対する動きを警戒し、12隻とギリシア人傭兵1500人を派遣しました。

捕虜と脱出

キオスに到達すると、ファルナバゾスはマケドニア派を捕まえ、地域の指導者に引き渡しましたが、同時にテネドスがマケドニアに奪われたことを知ります。ファルナバゾスはメテュムナの僭主アリストニコスに捕縛されるものの、巧妙に脱出してコスに逃げました。

後の経歴とその後

アレクサンドロスがこの世を去るまでの間、ファルナバゾスの動向は記録に残されていません。しかし、紀元前324年にはスサで行われた共同結婚式において、彼の姉妹アルトニスがエウメネスと結婚しています。このことから、ファルナバゾスがアレクサンドロスに帰順した可能性が考えられます。また、紀元前321年のヘレスポントスの戦いにはエウメネスの部将として参加したことから、彼の活動は続けられていたことがわかります。

ファルナバゾスのその後については多くの情報が不足していますが、彼の歴史における役割は古代のペルシアとマケドニアとの紛争において重要なものであったことは間違いありません。

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