ファーギー・フレデリクセン
ファーギー・フレデリクセン、本名デニス・ハーディ・フレデリクセンは、1951年5月15日にアメリカ、ミシガン州グランドラピッズのデンマーク系家庭に生まれました。彼は特にTOTOの元リードボーカリストとして知られる、多才なミュージシャンです。
13歳で歌い始めたフレデリクセンは、15歳になる頃には地元のクラブやパブでそのハイトーンボイスを披露し、若くして経験を積みました。大学には体操選手として特待生で進学し、州チャンピオンになるなど将来を嘱望されましたが、アスリートの道ではなく音楽を生業とすることを選びます。
キャリアの初期には、友人トミー・ショウ（後にスティクスに加入）の要請でMSファンクの代役を務め、その後、シカゴのバンド、トリリオンに参加。1978年にエピックからリリースされたトリリオンのセルフタイトルアルバム『氷牙』で正式にレコードデビューを果たしました（この時は本名のデニス・フレデリクセン名義）。しかし、学業との両立が困難になり、バンドを離れることとなります。
大学卒業後、彼はセッションミュージシャンとして活動の幅を広げ、映画音楽やコマーシャルソングにも関わりました。デヴィッド・ロンドン名義で参加した映画『ミュージック・ミュージック』のサウンドトラックは、海外で高い評価を受けました。また、シェールに楽曲を提供するなど、作曲家としても才能を発揮しています。後に本人が多くを語りたがらなかったヴィレッジ・ピープルのサウンドトラックや、スウェーデンのレーベルからリリースされたソロアルバム『David London』など、彼の初期の仕事には希少なものが多く含まれます。
エンジェルのキーボーディスト、グレッグ・ジェフーリアにデモ音源が渡ったことから、エンジェルのリードボーカルとなり、ここでベーシストのリッキー・フィリップスと出会います。この出会いは、その後の共同プロジェクトに繋がります。エンジェル時代の公式音源は発表されませんでしたが、後に未発表音源集でその歌声を聞くことができます。
1980年代初頭には、カンサスのリードボーカルオーディションで最終候補まで残るも選ばれませんでしたが、マネージャーのバッド・カーの目に留まり、その後のキャリアが開けます。サバイバーのリードボーカル候補となった際は実現せず、『アイ・オブ・ザ・タイガー』でバックコーラスを務めるにとどまりましたが、ここで築かれた人脈は後に彼のキャリアに影響を与えることになります。
1983年、バッド・カーの紹介で、ル・ルーのリードボーカルに加入し、アルバム『ソー・ファイアード・アップ』をリリース。この時期のアナログ盤では再びデニス・フレデリクセン名義が使用されました。同時期にはリッキー・フィリップスらとバンド「アバンドン・シェーム」を結成し、制作した楽曲の一部は映画『ターミネーター』や『地獄の武装都市／復讐のターミネーター』のサウンドトラックに使用されています。
フィリップスがTOTOのドラマー、ジェフ・ポーカロにフレデリクセンのデモを渡したことから、TOTOのボーカルオーディションを受けることになります。ジェフ・ポーカロの強力な推薦もあり、彼はボビー・キンボールの後任としてリードボーカルの座を獲得し、1984年リリースのアルバム『アイソレーション』に参加しました。この作品はヒットシングルを生んだものの、商業的には前作の成功には及びませんでした。様々な要因（一部ではスティーヴ・ルカサーとの確執も指摘されている）により、次作にはわずかに参加したのみで、短期間のうちにバンドを離れることとなります。
TOTO脱退後、ボストンのバリー・グドローによるプロジェクトRTZのデモ制作に参加しますが、最終的には実現しませんでした。1988年にはドイツのバンドKaroのアルバムに参加するなど、活動を続けますが、心身の不調から音楽業界を離れ、数年間はレストランビジネスに携わった時期もありました。
音楽への情熱が再燃すると、彼は旧友リッキー・フィリップスと再び活動を開始。1995年には共作アルバム『フレデリクセン/フィリップス』を発表し、アバンドン・シェーム時代の楽曲も収録されました。1997年頃からは、往年のロックミュージシャンが集結したWorld Classic Rockersの一員としてライブ活動を精力的に行い、これが彼の「安住の地」の一つとなります。また、1999年にはソロアルバム『イクィリブリアム』をリリースしました。
2000年代以降は、スウェーデンのプロデューサー/ギタリスト、トミー・デナンダーとの協業が活動の中心となり、彼のプロジェクトであるレディオ・アクティヴや、メッカ、AORなどの作品にリードボーカルとして参加しました。特に2007年のフレデリクセン・デナンダー名義のアルバム『バプティズム・バイ・ファイア』は、彼の完全復活を印象付ける作品となりました。他にも、ノルウェーやイタリアのバンドの作品にもゲスト参加しています。
2012年には、ボビー・キンボール、ビル・チャンプリン、スティーヴ・オージェリーと共に「Voice Of AOR」として日本ツアーを行い、TOTO時代の楽曲やシカゴのカバーなどを披露し、日本のファンを魅了しました。
晩年はミネソタ州に移住し、地に足の着いた生活を送っていたとされる彼は、地元のバンドと共にライブを行ったり、筋萎縮性側索硬化症のチャリティ活動にも熱心に取り組みました。また、自身がC型肝炎や癌と闘病していることを公表し、病気への啓発活動にも貢献しました。
多岐にわたるバンドやプロジェクトを渡り歩き、「流転のボーカリスト」とも称されたフレデリクセンは、2014年1月18日、肝臓癌のためミネソタ州の自宅で62歳でその生涯を閉じました。彼の残した多くの作品は、今なお世界中のファンに愛されています。
主なディスコグラフィ：
ソロ・アルバム
『David London』 (1981年) ※David London名義
『イクィリブリアム』 - Equilibrium (1999年)
『ハピネス・イズ・ザ・ロード』 - Happiness is the Road (2011年)
『エニイ・ギヴン・モーメント』 - Any Given Moment (2013年)
参加グループ・アルバム
トリリオン: 『氷牙』 - Trillion (1978年)
ル・ルー: 『ソー・ファイアード・アップ』 - So Fired Up (1983年)
TOTO: 『アイソレーション』 - Isolation (1984年)
フレデリクセン/フィリップス: 『フレデリクセン/フィリップス』 - Frederiksen/Phillips (1995年)
World Classic Rockers: World Classic Rockers Vol. 1 (2000年), Vol. 2 (2003年)
メッカ: 『メッカ』 - Mecca (2002年)
* フレデリクセン・デナンダー: 『バプティズム・バイ・ファイア』 - Baptism By Fire (2007年)
13歳で歌い始めたフレデリクセンは、15歳になる頃には地元のクラブやパブでそのハイトーンボイスを披露し、若くして経験を積みました。大学には体操選手として特待生で進学し、州チャンピオンになるなど将来を嘱望されましたが、アスリートの道ではなく音楽を生業とすることを選びます。
キャリアの初期には、友人トミー・ショウ（後にスティクスに加入）の要請でMSファンクの代役を務め、その後、シカゴのバンド、トリリオンに参加。1978年にエピックからリリースされたトリリオンのセルフタイトルアルバム『氷牙』で正式にレコードデビューを果たしました（この時は本名のデニス・フレデリクセン名義）。しかし、学業との両立が困難になり、バンドを離れることとなります。
大学卒業後、彼はセッションミュージシャンとして活動の幅を広げ、映画音楽やコマーシャルソングにも関わりました。デヴィッド・ロンドン名義で参加した映画『ミュージック・ミュージック』のサウンドトラックは、海外で高い評価を受けました。また、シェールに楽曲を提供するなど、作曲家としても才能を発揮しています。後に本人が多くを語りたがらなかったヴィレッジ・ピープルのサウンドトラックや、スウェーデンのレーベルからリリースされたソロアルバム『David London』など、彼の初期の仕事には希少なものが多く含まれます。
エンジェルのキーボーディスト、グレッグ・ジェフーリアにデモ音源が渡ったことから、エンジェルのリードボーカルとなり、ここでベーシストのリッキー・フィリップスと出会います。この出会いは、その後の共同プロジェクトに繋がります。エンジェル時代の公式音源は発表されませんでしたが、後に未発表音源集でその歌声を聞くことができます。
1980年代初頭には、カンサスのリードボーカルオーディションで最終候補まで残るも選ばれませんでしたが、マネージャーのバッド・カーの目に留まり、その後のキャリアが開けます。サバイバーのリードボーカル候補となった際は実現せず、『アイ・オブ・ザ・タイガー』でバックコーラスを務めるにとどまりましたが、ここで築かれた人脈は後に彼のキャリアに影響を与えることになります。
1983年、バッド・カーの紹介で、ル・ルーのリードボーカルに加入し、アルバム『ソー・ファイアード・アップ』をリリース。この時期のアナログ盤では再びデニス・フレデリクセン名義が使用されました。同時期にはリッキー・フィリップスらとバンド「アバンドン・シェーム」を結成し、制作した楽曲の一部は映画『ターミネーター』や『地獄の武装都市／復讐のターミネーター』のサウンドトラックに使用されています。
フィリップスがTOTOのドラマー、ジェフ・ポーカロにフレデリクセンのデモを渡したことから、TOTOのボーカルオーディションを受けることになります。ジェフ・ポーカロの強力な推薦もあり、彼はボビー・キンボールの後任としてリードボーカルの座を獲得し、1984年リリースのアルバム『アイソレーション』に参加しました。この作品はヒットシングルを生んだものの、商業的には前作の成功には及びませんでした。様々な要因（一部ではスティーヴ・ルカサーとの確執も指摘されている）により、次作にはわずかに参加したのみで、短期間のうちにバンドを離れることとなります。
TOTO脱退後、ボストンのバリー・グドローによるプロジェクトRTZのデモ制作に参加しますが、最終的には実現しませんでした。1988年にはドイツのバンドKaroのアルバムに参加するなど、活動を続けますが、心身の不調から音楽業界を離れ、数年間はレストランビジネスに携わった時期もありました。
音楽への情熱が再燃すると、彼は旧友リッキー・フィリップスと再び活動を開始。1995年には共作アルバム『フレデリクセン/フィリップス』を発表し、アバンドン・シェーム時代の楽曲も収録されました。1997年頃からは、往年のロックミュージシャンが集結したWorld Classic Rockersの一員としてライブ活動を精力的に行い、これが彼の「安住の地」の一つとなります。また、1999年にはソロアルバム『イクィリブリアム』をリリースしました。
2000年代以降は、スウェーデンのプロデューサー/ギタリスト、トミー・デナンダーとの協業が活動の中心となり、彼のプロジェクトであるレディオ・アクティヴや、メッカ、AORなどの作品にリードボーカルとして参加しました。特に2007年のフレデリクセン・デナンダー名義のアルバム『バプティズム・バイ・ファイア』は、彼の完全復活を印象付ける作品となりました。他にも、ノルウェーやイタリアのバンドの作品にもゲスト参加しています。
2012年には、ボビー・キンボール、ビル・チャンプリン、スティーヴ・オージェリーと共に「Voice Of AOR」として日本ツアーを行い、TOTO時代の楽曲やシカゴのカバーなどを披露し、日本のファンを魅了しました。
晩年はミネソタ州に移住し、地に足の着いた生活を送っていたとされる彼は、地元のバンドと共にライブを行ったり、筋萎縮性側索硬化症のチャリティ活動にも熱心に取り組みました。また、自身がC型肝炎や癌と闘病していることを公表し、病気への啓発活動にも貢献しました。
多岐にわたるバンドやプロジェクトを渡り歩き、「流転のボーカリスト」とも称されたフレデリクセンは、2014年1月18日、肝臓癌のためミネソタ州の自宅で62歳でその生涯を閉じました。彼の残した多くの作品は、今なお世界中のファンに愛されています。
主なディスコグラフィ：
ソロ・アルバム
『David London』 (1981年) ※David London名義
『イクィリブリアム』 - Equilibrium (1999年)
『ハピネス・イズ・ザ・ロード』 - Happiness is the Road (2011年)
『エニイ・ギヴン・モーメント』 - Any Given Moment (2013年)
参加グループ・アルバム
トリリオン: 『氷牙』 - Trillion (1978年)
ル・ルー: 『ソー・ファイアード・アップ』 - So Fired Up (1983年)
TOTO: 『アイソレーション』 - Isolation (1984年)
フレデリクセン/フィリップス: 『フレデリクセン/フィリップス』 - Frederiksen/Phillips (1995年)
World Classic Rockers: World Classic Rockers Vol. 1 (2000年), Vol. 2 (2003年)
メッカ: 『メッカ』 - Mecca (2002年)
* フレデリクセン・デナンダー: 『バプティズム・バイ・ファイア』 - Baptism By Fire (2007年)
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