フアン・ニカシオ

フアン・ラモン・ニカシオ：ドミニカ共和国が生んだ苦労人

フアン・ラモン・ニカシオ（Juan Ramon Nicasio, 1986年8月31日 - ）は、ドミニカ共和国ドゥアルテ州サン・フランシスコ・デ・マコリス出身のプロ野球選手（投手）です。右投右打で、現在はフリーエージェントとなっています。

愛称はアレノーソ（Arenoso）。これは、彼の出身地であるドゥアルテ州の町名に由来します。

プロ入りとロッキーズ時代

2006年8月21日にコロラド・ロッキーズと契約し、プロの道を歩み始めます。ルーキー級リーグでの経験を経て、着実にステップアップ。

2009年にはA級アッシュビル・ツーリスツで9勝を挙げ、その才能の片鱗を見せました。同年オフにはロッキーズとメジャー契約を結び、40人枠入りを果たします。

2011年5月28日、セントルイス・カージナルス戦でメジャーデビュー。7回を無失点に抑え、初登板初勝利という鮮烈なデビューを飾りました。しかし、同年8月5日のワシントン・ナショナルズ戦で、イアン・デズモンドの打球が直撃し、椎骨を骨折する重傷を負います。手術とリハビリを経て、2012年に奇跡的な復活を遂げますが、再び膝の故障に見舞われ、苦難のシーズンを送ることとなりました。

2013年には先発ローテーションに定着し、9勝を挙げますが、翌年以降は不調に苦しみ、AAA級への降格も経験。その後リリーフに転向し、メジャー再昇格を果たしました。

2014年オフ、ドジャースへトレードとなります。

ドジャース、パイレーツ時代

2015年、ドジャースではリリーフとして53試合に登板。1勝3敗1セーブ、防御率3.86という成績を残しました。四球の多さが課題でしたが、奪三振率は自己最高の10.0をマークするなど、成長も見られました。

2015年12月にはピッツバーグ・パイレーツと契約。2016年は先発とリリーフの両方で活躍し、10勝7敗、防御率4.50という成績を収めました。奪三振率は10.5と、前年を上回る数字を記録しています。

転々と球団を渡り歩く

2017年はシーズン中にフィリーズ、カージナルスと、立て続けにチームを移籍。カージナルスではリリーフとして9試合に登板し、3勝4セーブ、防御率1.64と好成績を残しました。この年、自身初のリリーフ専念となり、リーグ最多の76試合に登板。5勝5敗6セーブ、防御率2.61という素晴らしい成績を挙げました。

2017年12月にはシアトル・マリナーズと2年契約を結びますが、2018年は46試合に登板して1勝6敗、防御率6.00と不本意な成績に終わります。

フィリーズ復帰とその後

2018年12月、再びフィリーズへトレードで移籍。2019年シーズン終了後、FAとなります。

2020年にはテキサス・レンジャーズとマイナー契約を結び、メジャー昇格を果たしますが、同年オフに再びFAとなりました。

投球スタイル

ニカシオの投球は、93～95mph（最速97mph）のフォーシームが主体で、全投球の約2/3を占めます。その他、平均84mphのスライダー、チェンジアップを織り交ぜます。かつてはツーシームも投げていましたが、近年はフォーシーム中心の配球となっています。

選手としての特徴

ニカシオは、度重なる怪我や不調を乗り越え、メジャーリーグで長く活躍してきた選手です。先発投手としてデビューしましたが、リリーフに転向して才能を開花させました。そのタフな精神力と、常に向上心を持ってプレーする姿勢は、多くのファンに感動を与えています。

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