フアン・ホセ・アレバロ

フアン・ホセ・アレバロ・ベルメホ：グアテマラの民主化に尽力した教育者

フアン・ホセ・アレバロ・ベルメホ（1904年9月10日 - 1990年10月8日）は、グアテマラの教育者・政治家であり、1945年から1951年までグアテマラの大統領を務めました。彼はグアテマラ初の民主的な選挙で選ばれた大統領であり、同国第40代大統領であるベルナルド・アレバロは息子です。

生涯

アレバロはサンタ・ローサ県タシスコで生まれました。タシスコと首都グアテマラシティで教育を受け、1922年に師範学校を卒業後、教員として活動。教育者として活動する傍ら、雑誌『アルバ』の創刊・編集者としても活躍しました。

1925年には教育改革に関する著書を出版。ラサロ・チャコン・ゴンサレス大統領時代の1927年には政府の奨学金を得てアルゼンチンに留学し、1934年に国立ラプラタ大学で哲学および教育学の博士号を取得しました。

ホルヘ・ウビコが大統領に就任すると教育相を務めましたが、1937年に再びアルゼンチンに戻り、国立トゥクマン大学で教鞭を執りました。

大統領として

1944年6月にウビコの独裁政権が倒れると、国家刷新党(PRN)と人民解放戦線(FPL)の2つの党から大統領候補として指名を受け、同年9月に帰国。12月の選挙で大勝し、翌年3月15日に大統領に就任しました。この選挙は「グアテマラ史上初の公正で民主的な選挙」と評されています。

アレバロは「精神的社会主義」(Socialismo Espiritual)を標榜し、労働組合の設立支援、反植民地的・改革的政策を推進しました。これらの政策は、外国企業、特にユナイテッド・フルーツ・カンパニーやアメリカ合衆国の反発を招きました。また、大土地所有者の持つ耕作されていない土地を徴用する政策は、次のアルベンス大統領の時代にも引き継がれました。関税による国産品保護、社会保障機関の設立による労働環境改善、識字率向上などの教育改革にも尽力。外交面では、中米機構(ODECA)の設立に尽力しました。

大統領在任中には24回もの軍事クーデター未遂が発生しましたが、全て阻止。1951年3月15日には、再び選挙で選ばれたハコボ・アルベンスに平和的に政権を譲渡しました。アルベンス政権下では、大使としてヨーロッパやラテンアメリカ諸国に赴任しました。

その後

1954年のCIAによるクーデターでアルベンス政権が倒された際（PBSUCCESS作戦）、アレバロはチリに滞在していました。その後、グアテマラに帰国することなくウルグアイを経て、1958年にベネズエラの大学教授に就任しました。

ミゲル・イディゴラス・フエンテス大統領の時代、1963年3月30日の新聞報道でアレバロがグアテマラに帰国したと報じられました。しかし、大統領選挙でのアレバロの返り咲きを恐れた当時の防衛相エンリケ・ペラルタ・アスルディア率いる軍によるクーデターが発生。選挙は中止され、アレバロは再びメキシコへ亡命。1970年代まで帰国は叶いませんでした。

1985年の選挙で久しぶりに軍人ではないビニシオ・セレソが大統領に選出されると、アレバロはセレソと面会し、「グアテマラ革命の第2章が始まる」と述べました。

1990年にグアテマラシティで逝去し、故郷のタシスコに埋葬されました。彼はグアテマラで唯一国葬された大統領です。

著書

アレバロは数多くの著書を出版しています。

Viajar es vivir. (1933)（旅することは生きること）
La adolescencia como evasión y retorno. (1941)（逃避と帰還としての青春）
Escritos políticos. (1945)（政治論集）
Guatemala, la democracia y el imperio. (1954)（グアテマラ、民主主義と帝国）
El tiburón y las sardinas. (1956)（サメとイワシたち）- アメリカ合衆国がラテンアメリカ諸国に介入する様子を寓話で表現したもの。1961年に英語に翻訳された。
Anticomunismo en América Latina. (1959)（反共産主義とラテンアメリカ）

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