フアン・マリシャル

フアン・アントニオ・マリシャル・サンチェス

フアン・アントニオ・マリシャル・サンチェス（1937年10月20日生まれ）は、ドミニカ共和国のモンテ・クリスティ州ラグナ・ヴェルデ出身の元プロ野球選手で、主に投手として活躍しました。愛称は「マニート」、「ドミニカン・ダンディー」、「マル」。

経歴

現役時代

マリシャルは1957年、ニューヨーク・ジャイアンツと契約し、1958年にはチームがサンフランシスコに移転しました。1960年7月19日、彼はメジャーデビューを果たし、フィラデルフィア・フィリーズ相手に1安打12奪三振という圧巻の成績で完封勝利を収めました。この年、マリシャルは6勝2敗という成績でシーズンを終え、防御率は2.66でした。翌1961年には、13勝を挙げ、途中7連勝の記録も残しました。

1962年には初めての開幕投手を務め、オールスターゲームにも初選出。シーズンでは18勝11敗、防御率3.36を記録し、チームはロサンゼルス・ドジャースとの熾烈な優勝争いを繰り広げました。特に印象的なのは、最終戦での力投によって、同率で並びプレイオフへ進出したことです。ワールドシリーズにおいても第4戦に先発し、4回無失点で降板しましたが、チームは敗れました。

さらに、1963年には9連勝とノーヒットノーランの偉業を達成するなど、彼の投手としての技術は際立ちました。その効果的なピッチングスタイルは、他の大投手たちとともに注目を集めました。1964年には6連勝を果たしつつも、21勝8敗の記録を残しましたが、故障も影響し、シーズン最終的には思ったような数値には至りませんでした。

1965年には14勝7敗、防御率1.55を記録し、オールスターゲームではMVPにも選ばれましたが、過激な乱闘沙汰もあり、その影響で出場停止処分を受けました。しかし、シーズンは22勝13敗を挙げ、再びリーグでの強さを際立たせました。

その後もマリシャルは1966年から1969年にかけて素晴らしい成績を収め、通算25勝を記録した年もありました。1970年以降は、故障や不調に悩まされることが多く、1974年には戦力外通告を受け、1975年にはドジャースと契約したものの、その年限りで現役を引退しました。

引退後

マリシャルの背番号27は、ジャイアンツによって永久欠番に指定され、彼の功績が称えられました。アメリカ野球殿堂入りは資格取得の1年目に果たせませんでしたが、1983年には殿堂入りを果たしました。彼はドミニカ共和国出身の選手として初の殿堂入りを果たした選手でした。

2005年には、オラクル・パークにて彼の豪快な投球フォームの銅像が建立され、再び彼の功績が広く知られることとなりました。

エピソード

マリシャルの活躍は球場の外でも多くのエピソードを生みました。特に、暴力行為の事件により、彼は一時的にネガティブな印象を持たれることもありましたが、その後、事件の相手である捕手ローズボロとの和解を経て、友人関係に発展しました。打撃や暴力行為の印象を挽回した功績は、彼を更に特別な存在にしています。

選手としての特徴

マリシャルはその独特な投球フォームで知られ、特に左足を高く蹴り上げるワインドアップからのオーバースローピッチがプレイの魅力でした。この様式は彼の制球力と相まって、打者にとって非常に難解なものでした。通算で243勝を誇る彼は、2330の三振を奪い、与四球752という素晴らしい指標を残しました。彼の技術力とユニークなスタイルは、次世代の選手たちに大きな影響を与えました。

マリシャルの遺産は今なお野球界に息づいており、彼の情熱と才能は未来世代の選手たちにインスピレーションを与え続けることでしょう。

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