フィアット・ティーポ

フィアット ティーポ：Cセグメントの礎を築いた名車

フィアット ティーポは、フィアット社が1980年代後半から製造・販売していたCセグメントの乗用車です。その歴史、デザイン、販売状況、そして後継モデルまでを詳細に見ていきましょう。

タイプ160 (1988年-1995年)：革新的なデザインとプラットフォーム

ティーポは、1988年に5ドアハッチバックとしてデビューしました。リトモの後継車種として登場したティーポは、イタリアのデザイン会社I.DE.Aによる洗練されたエクステリアと、フィアット社内デザインセンターによる内装デザインが特徴的でした。

特に注目すべきは、その開発コンセプトです。フィアットは、「ティーポ2」と「ティーポ3」という2つの開発プロジェクトを統合することで、ボディ構造やパワートレイン、主要部品の共通化を実現しました。この戦略は、1981年に発表されたフィアット・VSSプロジェクトの経験に基づいており、効率的な車両開発と生産を可能にしました。

この共通プラットフォームは、フィアット、ランチア、アルファロメオといったフィアットグループの様々な車種に展開され、1990年代の同グループの車両ラインナップを支える基盤となりました。ティーポは、まさにフィアットグループのC/Dセグメント車の原型となったのです。 1989年には、その優れたデザインと技術が評価され、ヨーロッパ・カー・オブ・ザ・イヤーを受賞しています。

ティーポは、5ドアハッチバックに加え、3ドアハッチバックもラインナップに加えられ、1995年まで製造されました。

ティーポ(160)をベースとした車種

ティーポのプラットフォームを基に開発された車種は数多く存在します。フィアットでは、テムプラ、クーペ・フィアット、ブラーボ/ブラーバ、マレアなど。ランチアでは、デルタII、デドラ。アルファロメオでは、145、146、155、GTV、スパイダーなど。 ザスタバ フロリダもティーポをベースに開発された車種です。これらのモデルは、ティーポの成功を基盤に、それぞれのブランドの個性を反映したモデルとして市場に送り出されました。

日本市場におけるティーポ

日本においては、1989年からサミットモータース（当時フィアット日本総代理店）を通じて輸入販売が開始されました。当初は、厳しい排ガス規制に対応した1.6DGTモデルのみが導入されました。このモデルは、1.6L DOHCエンジンを搭載し、最高出力90PSを誇る5ドアハッチバックでした。

その後、1991年にはフィアット＆アルファロメオ・モータース・ジャパンが輸入元となり、2.0-16Vモデルの輸入も開始されました。これは、2.0L DOHCエンジンを搭載し、最高出力145PSを誇るスポーツモデルで、アバルトバッジが装着されていました。1993年には、2.0GTモデルが導入されました。

しかし、日本市場におけるティーポの販売は、必ずしも成功したとは言えず、1994年には輸入が終了しました。

タイプ365 (2015年-): ティーポの系譜を受け継ぐ

2015年、フィアットはティーポの後継モデルとなるタイプ365を発表しました。トルコで「フィアット・エーゲ」として発表されたこのモデルは、4ドアセダン、5ドアハッチバック、ステーションワゴンの3種類のボディタイプが用意され、世界各国で販売されました。日本では、フィアット・ティーポとして販売されています。メキシコではクライスラー・ネオンの3代目として販売されました。

タイプ365は、フィアット・スモールワイド・プラットフォームを採用し、フィアット・チェントロ・スティレとトファシュが共同開発したモデルです。グレードは、「ストリート」、「ミラー」、「ラウンジ」に加え、スポーティな「Sデザイン」や「スポーツ」モデルも用意されています。

まとめ

フィアット・ティーポは、革新的なプラットフォームとデザインによって、フィアットグループのCセグメント車の発展に大きく貢献しました。日本市場では成功とはならなかったものの、その歴史と影響は、現代のフィアット車に受け継がれています。タイプ365は、ティーポの系譜を現代に繋ぐ重要なモデルと言えるでしょう。

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