フィラリア

フィラリアとその関連疾患

フィラリア（filaria）は、線形動物門に属する寄生虫の一種であり、主に脊椎動物に寄生します。特に、犬や人間に影響を及ぼし、フィラリア症（filariasis）という病気を引き起こします。現在日本で広く知られているのは犬糸状虫（Dirofilaria immitis）ですが、他にも人に寄生するバンクロフト糸状虫（Wuchereria bancrofti）などが存在します。

フィラリアの生態

フィラリアは、細長い糸状の形を持ち、寄生する場所は種によって異なります。一般的に、リンパ系や血管、皮下組織、眼窩などで成虫が成長します。フィラリアは卵胎生であり、成熟した雌はミクロフィラリアという幼虫を産出します。これらの幼虫は吸血昆虫に摂取され、体内で脱皮を経て感染幼虫に成長し、再び宿主に感染します。

バンクロフト糸状虫

バンクロフト糸状虫は、人間のリンパ系に寄生するフィラリアです。雌は約65～100mm、雄は約40mmの大きさで、雌は子宮内でミクロフィラリアを産出します。感染者は最初は無症状ですが、約9ヶ月後にはリンパ管炎やリンパ節炎の症状が現れ、重度の場合は体内のリンパ管が閉塞し、象皮症を引き起こすことがあります。この病気は主に熱帯や亜熱帯地域に分布し、日本では過去には九州や南西諸島でも見られました。

マレー糸状虫

マレー糸状虫（Brugia malayi）は、バンクロフト糸状虫に似た特性を持つフィラリアで、主に東南アジアに分布しています。この糸状虫もリンパ系に寄生し、象皮症の原因となります。ただし、その影響を受ける部位は脚の膝から下や腕の肘から下に限られます。日本ではかつて八丈小島にまで存在していましたが、現在は見られません。

オンコセルカ症

オンコセルカ症は河川盲目症とも呼ばれ、回旋糸状虫によって引き起こされるフィラリアの一種です。この病気の余波はひどいかゆみや皮下のこぶ、失明に及ぶことがあります。特にアフリカにおいて、多くの患者がこの病気に悩まされており、世界保健機関（WHO）による顧みられない熱帯病にも指定されています。

ロア糸状虫

ロア糸状虫は、西・中央アフリカの熱帯雨林に見られ、ヒトに寄生してロア糸状虫症を引き起こします。成虫は血管性浮腫を引き起こし、特に眼の周囲に影響を与えることがあります。この感染はメクラアブを介して広がり、皮下組織で成虫に成長します。

犬糸状虫

犬糸状虫は主に犬に寄生し、時折人間にも感染することがあります。吸血昆虫から感染し、成虫は主に犬の心臓に寄生しますが、特定の条件により動脈にまで移行することがあります。このような感染は稀ですが、非常に注意が必要です。

定期出現性

特定のフィラリアの幼虫は、媒介する昆虫の吸血時間に合わせて宿主の血中に出現する特性を持ちます。この周期性はフィラリア感染の理解において重要な要素です。

フィラリアは地球上の熱帯や亜熱帯地域に広く分布しているため、今後もその影響を受ける地域の人々に対する注意が求められます。

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