フィリップス・エクセター・アカデミー

概要

フィリップス・エクセター・アカデミー（Phillips Exeter Academy）は、1781年に設立された、アメリカ合衆国ニューハンプシャー州エクセターに所在する歴史あるボーディングスクール（全寮制高等学校）です。この教育機関は、商人として成功したジョン・フィリップス氏によって創設されました。設立当初は男子校として運営されていましたが、1970年からは男女共学制へと移行し、現在に至ります。一般的には、フィリップス・エクセター、エクセター、またはPEAといった略称で呼ばれています。

校風と教育

アカデミーは、その創設時から受け継がれる伝統を深く尊重する校風で知られています。規律を重んじ、厳格な教育を通じて、生徒たちの学問的探求心と人格形成を促しています。こうした教育方針のもと、生徒一人ひとりの可能性を最大限に引き出すことに重点が置かれています。

高い名声と学術的権威

フィリップス・エクセターは、アメリカ国内における寄宿制中等教育機関の中でも特に長い歴史と卓越した学術水準を誇る名門校の一つとして認識されており、「The Ten Schools」と呼ばれる全米屈指の10校グループにも名を連ねています。その学術的権威は国内外で広く認められており、世界的に見ても各分野で指導的な役割を果たす多くの優秀な人材を輩出してきました。卒業生の主な進学先としては、ハーバード大学やコロンビア大学をはじめとする、世界的に評価の高い一流大学が挙げられます。

突出した財政基盤

アカデミーの特筆すべき点の一つに、その強固な財政力が挙げられます。フィリップス・エクセター・アカデミーは、アメリカ国内の教育機関の中で最も多額の寄付金を集めている学校の一つであり、その市場価値は非常に高い水準にあります。2009年2月時点のデータによれば、その価値は約8億5000万ドルに達していました。さらに、生徒一人当たりの寄付額は約80万ドルと算出され、これはコーネル大学やコロンビア大学、ブラウン大学、ペンシルベニア大学といった著名な大学を上回る水準です。この潤沢な資金は、教育施設の整備や拡充、奨学金制度の充実などに活用され、質の高い教育環境の維持・向上に貢献しています。また、2004年秋には「The Exeter Initiatives」という大規模な増資計画を発表し、既存の寄付総額を3億500万ドル増加させることを目標とするなど、積極的な財政強化の取り組みを進めています。

スポーツと伝統的なライバル関係

スポーツ活動もアカデミー生活の重要な要素です。フィリップス・エクセター・アカデミーは、同じくジョン・フィリップス氏によって創設された姉妹校であり、マサチューセッツ州アンドーバーに位置するフィリップス・アカデミーとの間に、非常に長い歴史を持つライバル関係があります。特にアメリカンフットボールの対抗戦は、年間を通じて最も重要視されるスポーツイベントの一つであり、両校の生徒や卒業生にとって特別な意味合いを持っています。

多様な分野で活躍する著名な卒業生

フィリップス・エクセター・アカデミーは、政治、経済、学術、文化など、多岐にわたる分野で世界的に知られる多くの著名な卒業生を輩出してきました。過去には、第14代アメリカ合衆国大統領フランクリン・ピアース、第16代大統領エイブラハム・リンカーンの長男で政治家・実業家のロバート・トッド・リンカーン、ウェストバージニア州知事を務めたジョン・ロックフェラー4世、司法長官も経験した政治家・弁護士のニコラス・カッツェンバックなどが学びました。学術分野では、1972年にノーベル化学賞を受賞した生化学者ウィリアム・スタイン、現代哲学者のダニエル・デネット、数学者の望月新一、そしてハーバード大学初の黒人学長となった政治学者クローディン・ゲイといった傑出した研究者がいます。文芸界からは、『ガープの世界』などで知られる作家ジョン・アーヴィング、『ダ・ヴィンチ・コード』の著者ダン・ブラウン、『ネイティブ・スピーカー』を書いた作家チャンネ・リーなどが名を連ねます。また、Facebookの創業者である実業家マーク・ザッカーバーグもアカデミーの卒業生であり、テクノロジー業界に大きな影響を与えています。これらの卒業生は、それぞれの専門分野で顕著な業績を残し、アカデミーの名声を高めています。

国際交流

国際的な連携の一環として、フィリップス・エクセター・アカデミーは日本の私立学校とも交流を持っています。具体的には、東京にある成蹊中学校・高等学校との間で、教育的な交流が行われています。

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