フィリップ・マヌリ

フィリップ・マヌリ：現代音楽の革新者

フィリップ・マヌリ（Philippe Manoury, 1952年6月19日 - ）は、フランスの現代音楽作曲家として、その名を広く知られています。ミシェル・フィリポ、マックス・ドイチュ、クロード・バリフといった名だたる作曲家に師事し、早くからその才能を開花させました。

電子音楽との融合

初期の作品はセリエル音楽の影響を受けていましたが、マヌリは数学者ミラー・パケットと共同で開発した4Xシステムを用いた作品群で独自の道を切り開きます。《時間の推移》などの作品は、その長大な構成と密度の高い音楽性で、他のフランス人作曲家とは一線を画しています。野平一郎をソリストに迎えた《プルトーン》や《ネプチューン》は、4XとIRCAMの技術を駆使した代表作として知られています。

伝統と革新の融合

電子音楽で名声を確立した後も、マヌリは伝統的な題名を持つ作品を積極的に発表します。《La ville...ピアノソナタ第1番...》、《Veränderungen... 同第二番...》、《弦楽四重奏曲》など、前衛的ながらも古典的な形式を取り入れた作品は、新たな音楽の可能性を追求する姿勢を示しています。二台のピアノとオーケストラのための《Zones de turbulences》では、同音連打やアルペジオ、管弦楽の全合奏など、伝統的な技法を駆使し、聴衆を魅了しました。

日本との深い絆

《東京のためのパッサカリア》という作品名からもわかるように、マヌリは日本との縁が深く、頻繁に来日して講演や作曲マスタークラスを行っています。京都フランス音楽アカデミーでは、作曲コースの再開後も講師として招かれるなど、日本の音楽教育にも貢献しています。これらの活動を通じて、日本のFMラジオでも作品が放送されるなど、日本国内での認知度も高まっています。

近年の活動

近年では、ケルン・フィルハーモニーのための大規模なオーケストラ作品「La Triologie Köln」や、エルフリーデ・イェリネクのテキストを用いた舞台作品「Kein Licht」など、意欲的な作品を発表しています。また、サントリーホールサマーフェスティバル2024のテーマ作曲家に選ばれるなど、その活動はますます注目を集めています。

主要作品

マヌリの作品は、オペラ、管弦楽曲、協奏曲、室内楽曲、ライブ・エレクトロニクス、ピアノ作品、声楽曲など多岐にわたります。以下に代表的な作品をいくつか紹介します。

オペラ: 60e parallèle, K…, La frontière, La nuit de Gutenberg
管弦楽曲: Numéro huit, Pentaphone, 響きと怒り
協奏曲: Echo-Daimónon, Bref Aperçu sur l'Infini
室内楽曲: String Quartet, Passacaille pour Tokyo, Epitaphe
ライブ・エレクトロニクス: Zeitlauf, Jupiter, Pluton, Neptune

受賞歴

マヌリは、その卓越した才能と音楽への貢献により、数々の賞を受賞しています。

SACEM室内楽賞 (1976年)
SACEM最優秀音楽実現賞 (1988年)
パリ市作曲大賞 (1998年)
SACEM交響音楽大賞 (1999年)
SACD大賞 (2001年)

これらの受賞歴は、マヌリの音楽が国際的に高く評価されていることを物語っています。

参考文献

* ラルース音楽事典・マヌリの項

フィリップ・マヌリは、現代音楽の新たな地平を切り開く作曲家として、今後ますます注目されることでしょう。

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