フィリッポ・マリーア・ヴィスコンティ

フィリッポ・マリーア・ヴィスコンティは、1392年9月3日に生まれ、1447年8月13日に亡くなったミラノ公です。彼は、1412年からその死までミラノを統治しました。その治世は、残酷で偏執的な性格と、それを補うかのような政治的な手腕によって特徴づけられます。

生涯

フィリッポ・マリーアは、1402年に名目上のパヴィーアの支配者となりました。1412年、兄ジョヴァンニ・マリーアの暗殺を受けてミラノ公位を継承。父ジャン・ガレアッツォ・ヴィスコンティと母カテリーナ・ヴィスコンティの息子として生まれました。政略結婚により、ビアンドラーテ伯ファチーノ・カーネの未亡人、ベアトリーチェ・ラスカリス・ディ・テンダと結婚し、莫大な持参金を得ました。しかし、ベアトリーチェが政治に関与しすぎると、彼女を姦通罪で告発し、1418年に処刑しました。

フィリッポ・マリーアは、その外見の醜さや猜疑心から、しばしば残酷な行動に走りました。しかし、カルマニョーラ、ニッコロ・ピッチニーノ、フランチェスコ・スフォルツァといった有能な傭兵隊長を雇い、ミラノ公国の領土回復に尽力しました。特にロンバルディア地方での勢力拡大に成功しました。

1423年には、フォルリ領主の死に乗じて、後見人であったテダルド・オルデラッフィを利用しロマーニャを征服しました。これにより、フィレンツェとの間に戦争が勃発しました。ヴェネツィアがフィレンツェ側につき参戦したことで、戦火はロンバルディア全体に拡大しました。1426年、カルマニョーラはブレシアで反乱を起こし、ヴェネツィアがブレシアを占領しました。フィリッポ・マリーアは神聖ローマ皇帝の支援を得ることができず、教皇マルティヌス5世の仲介により不利な和平条約を受け入れざるを得なくなりました。しかし、その後も戦争は再開し、マクローディオでの敗北を経て、フェラーラ侯の仲介により和平が結ばれました。

1428年、フィリッポ・マリーアはサヴォイア公アメデーオ8世の娘マリーアと再婚。この婚姻関係は、後にアメデーオ8世が対立教皇フェリクス5世になる上で大きな影響を与えました。また、フィリッポ・マリーアは、ミラノに学校を設立するため、人文主義者のガスパリーノ・バルツィッツァを招へいし、宮廷弁論家として重用しました。

1447年にフィリッポ・マリーアが亡くなると、ヴィスコンティ家の男系は途絶えました。その後、短期間アンブロジアーナ共和国が成立しましたが、最終的には娘婿であるフランチェスコ・スフォルツァがミラノ公位を継承しました。フランチェスコは、1441年にフィリッポ・マリーアの庶子ビアンカ・マリーアと結婚していました。

芸術

フィリッポ・マリーアの治世下では、現存する最古のタロットカードが制作されたと考えられています。これは当時『carte da trionfi』と呼ばれていました。

参考文献

Marina, Areli (2013). “The Langobard Revival of Matteo il Magno Visconti, Lord of Milan”. I Tatti Studies in the Italian Renaissance (University of Chicago Press) 16 (1/2 September).
Wilkins, David G.; Wilkins, Rebecca L. (1996). The Search for a Patron in the Middle Ages and the Renaissance. E. Mellen Press
* Hayes, Carlton Joseph Huntley (1911). "Visconti s.v. Filippo Maria". In Chisholm, Hugh (ed.). Encyclopædia Britannica (英語). Vol. 28 (11th ed.). Cambridge University Press. p. 129.

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