パヴィーア
パヴィーアは、イタリア共和国ロンバルディア州に位置する都市で、パヴィーア県の県都です。ミラノの南約30kmに位置し、ポー川とティチーノ川の合流点に近い場所にあります。人口は約7万1000人で、静かで落ち着いた雰囲気の都市です。
日本語では「パヴィーア」または「パヴィア」と表記されます。ローマ時代にはティキヌム（Ticinum）と呼ばれていましたが、後にティキヌム・パピーア（Ticinum Papia）または単にパピーア（Papia）と呼ばれるようになり、これが転訛して現在のイタリア語名であるパヴィーア（Pavia）となりました。パピーアという名前はローマ教皇との関連が示唆されています。
パヴィーアはロンバルディア州の南西部に位置し、ミラノから南へ31km、ピアチェンツァから西北西へ45km、アレッサンドリアから北東へ53kmの距離にあります。ポー川の支流であるティチーノ川の左岸（北岸）に市街が広がっており、市域は約63km²です。
隣接するコムーネ
チェルトーザ・ディ・パヴィーア
ボルガレッロ
サン・ジェネージオ・エド・ウニーティ
サンタレッシオ・コン・ヴィアローネ
クーラ・カルピニャーノ
ヴァッレ・サリンベーネ
トラヴァコ・シッコマーリオ
サン・マルティーノ・シッコマーリオ
カルボナーラ・アル・ティチーノ
トッレ・ディーゾラ
マルチニャーゴ
気候と地震
気候分類では、zona E, 2623 GGに分類され、イタリアの地震リスク階級ではzona 3 (sismicità bassa) に分類されます。
パヴィーアは、古代にはティキヌムと呼ばれ、ティチーノ川の河畔に位置していました。ローマ帝国時代には、属州ガリア・キサルピナの重要な軍事拠点であり、ムニキピウム（自治都市）となりました。プリニウスは、リグリア人の部族が築いたと記し、プトレマイオスはインスブリア人に帰しています。紀元前218年には、ローマの兵営として始まり、第二次ポエニ戦争を通じて兵営都市として発展しました。紀元前187年にはエミリア街道が開通し、パヴィーアは交通の要所として重要度を増しました。
476年、西ローマ皇帝ロムルス・アウグストゥルスが退位し、西ローマ帝国が終焉を迎えたのはパヴィーアでした。東ゴート族の将軍オドアケルが反乱を起こし、ロムルス・アウグストゥルスの父を殺害しました。オドアケルの支配後、東ゴート族のテオドリック王がイタリアに侵入し、パヴィーアは東ゴート王国の重要な都市の一つとなりました。テオドリック王は、パヴィーアに宮殿や円形劇場、公衆浴場などを建設し、都市の復興に力を注ぎました。また、哲学者ボエティウスがこの地で投獄され、処刑されたことも歴史に残っています。
568年、ランゴバルド人がイタリアに侵入し、パヴィーアはランゴバルド王国の重要な都市となりました。パヴィーアの攻略は難航しましたが、572年に陥落し、620年代にはランゴバルド王国の首都となりました。ランゴバルド人の支配下で、多くの修道院や教会が建設され、キリスト教文化が発展しました。中でもサン・ピエトロ・イン・チェル・ドーロ教会は、リウトプランド王によって建築され、聖アウグスティヌスやボエティウスが埋葬されたことで知られています。7世紀後半には、パヴィーアでランゴバルド独自の貨幣も発行されました。
773年、フランク王国のカール1世（シャルルマーニュ）が侵攻し、ランゴバルド王国を滅ぼしました。パヴィーアは、ランゴバルド王国終焉の地となり、その後はフランク帝国の一部となりました。
中世においても、パヴィーアはイタリア王国の首都として認識され、神聖ローマ帝国の戴冠式もこの地で行われました。12世紀にはコムーネとして自治権を獲得しましたが、教皇派と皇帝派の対立においては皇帝派に属しました。1359年にはミラノのヴィスコンティ家の支配下に入り、学問と芸術の中心地として発展しました。1361年にはパヴィーア大学が設立されました。
1525年のパヴィアの戦いは、都市の運命を大きく変えました。フランス軍が敗北し、パヴィーアはハプスブルク家の支配下に入りました。1713年以降はオーストリアの支配下となりましたが、1796年にナポレオンによって占領されました。1815年のナポレオン没落後、再びオーストリアの統治下に入りましたが、1859年の第二次イタリア独立戦争を経て、1861年にイタリア王国に統合されました。
パヴィーアには、以下の分離集落（フラツィオーネ）があります。
Albertario, Cà della Terra, Cà de' Tedioli, Cantugno, Cassinino, Cittadella, Fossarmato, Mirabello, Molinazzo, Montebellino, Pantaleona, Villalunga
パヴィーア県は、ワイン、コメ、穀物などの農産品で知られる肥沃な農業地域です。パヴィーア市の郊外には工業地区も発展しています。
パヴィーア大学
1361年に設立された歴史ある大学です。法学校を中心に多くの学生を集めました。大学の建物は、バロック様式から新古典主義建築まで様々な様式が見られます。大学には植物園も併設されています。
パヴィア大聖堂（Duomo di Pavia）: 1488年に工事が始まり、1898年に完成した大聖堂。中央ドームはイタリアで3番目の大きさを誇ります。
サン・ミケーレ・マッジョーレ教会（Chiesa di San Michele Maggiore）: ロンバルディア・ロマネスク建築の代表的な例。11世紀に再建され、フリードリヒ1世が戴冠式を行った場所です。
サン・ピエトロ・イン・チェル・ドーロ教会（San Pietro in Ciel d'Oro）: 聖アウグスティヌスやボエティウス、リウトプランド王が埋葬されている教会。現在の建物は1132年に建てられました。
サン・テオドーロ教会（San Teodoro）: 中世のパヴィーア司教に献堂されたロマネスク様式の教会です。内部には16世紀の都市鳥瞰図フレスコ画があります。
ヴィスコンテーオ城（Castello Visconteo）: 14世紀にヴィスコンティ家によって建てられた城。現在は市立美術館となっており、公園は子供たちの遊び場として利用されています。
サンタ・マリア・デル・カルミネ教会（Chiesa di Santa Maria del Carmine）: ゴシック様式のレンガ建築で、市内ではドゥオモの次に大きい教会です。
サンタ・マリア・ディ・カネパノーヴァ教会（Santa Maria di Canepanova）: ルネサンス様式の教会で、ブラマンテの手によるものです。
中世の塔: 町のスカイラインを形成しています。
チェルトーザ・ディ・パヴィーア（Certosa）: 近郊にあるカルトジオ会派修道院。
著名な出身者
ジャン・ガレアッツォ・ヴィスコンティ: 14世紀末のミラノ公
ジョヴァンニ・アントニオ・アマデーオ: 15-16世紀の彫刻家・建築家
ジェロラモ・カルダーノ: 16世紀の数学者
チェーザレ・モーリ: 19-20世紀の地方行政官
カルロ・チポラ: 経済史学者
ジョヴァンニ・ロンバルディ: 自転車競技選手
鉄道
パヴィーア駅は、ミラノ＝ジェノヴァ線の最初の開業区間の駅として1862年に開業しました。ミラノ近郊鉄道のS13線が30分ごとに運行しており、ミラノと結ばれています。
道路
アウトストラーダA53とA54がパヴィーアを通っています。
ヴィリニュス（リトアニア）
ヒルデスハイム（ドイツ）
ブザンソン（フランス）
ベツレヘム（パレスチナ）
* ザキントス（ギリシャ）
名称
日本語では「パヴィーア」または「パヴィア」と表記されます。ローマ時代にはティキヌム（Ticinum）と呼ばれていましたが、後にティキヌム・パピーア（Ticinum Papia）または単にパピーア（Papia）と呼ばれるようになり、これが転訛して現在のイタリア語名であるパヴィーア（Pavia）となりました。パピーアという名前はローマ教皇との関連が示唆されています。
地理
パヴィーアはロンバルディア州の南西部に位置し、ミラノから南へ31km、ピアチェンツァから西北西へ45km、アレッサンドリアから北東へ53kmの距離にあります。ポー川の支流であるティチーノ川の左岸（北岸）に市街が広がっており、市域は約63km²です。
隣接するコムーネ
チェルトーザ・ディ・パヴィーア
ボルガレッロ
サン・ジェネージオ・エド・ウニーティ
サンタレッシオ・コン・ヴィアローネ
クーラ・カルピニャーノ
ヴァッレ・サリンベーネ
トラヴァコ・シッコマーリオ
サン・マルティーノ・シッコマーリオ
カルボナーラ・アル・ティチーノ
トッレ・ディーゾラ
マルチニャーゴ
気候と地震
気候分類では、zona E, 2623 GGに分類され、イタリアの地震リスク階級ではzona 3 (sismicità bassa) に分類されます。
歴史
古代
パヴィーアは、古代にはティキヌムと呼ばれ、ティチーノ川の河畔に位置していました。ローマ帝国時代には、属州ガリア・キサルピナの重要な軍事拠点であり、ムニキピウム（自治都市）となりました。プリニウスは、リグリア人の部族が築いたと記し、プトレマイオスはインスブリア人に帰しています。紀元前218年には、ローマの兵営として始まり、第二次ポエニ戦争を通じて兵営都市として発展しました。紀元前187年にはエミリア街道が開通し、パヴィーアは交通の要所として重要度を増しました。
西ローマ帝国の滅亡と東ゴート王国
476年、西ローマ皇帝ロムルス・アウグストゥルスが退位し、西ローマ帝国が終焉を迎えたのはパヴィーアでした。東ゴート族の将軍オドアケルが反乱を起こし、ロムルス・アウグストゥルスの父を殺害しました。オドアケルの支配後、東ゴート族のテオドリック王がイタリアに侵入し、パヴィーアは東ゴート王国の重要な都市の一つとなりました。テオドリック王は、パヴィーアに宮殿や円形劇場、公衆浴場などを建設し、都市の復興に力を注ぎました。また、哲学者ボエティウスがこの地で投獄され、処刑されたことも歴史に残っています。
ランゴバルド王国
568年、ランゴバルド人がイタリアに侵入し、パヴィーアはランゴバルド王国の重要な都市となりました。パヴィーアの攻略は難航しましたが、572年に陥落し、620年代にはランゴバルド王国の首都となりました。ランゴバルド人の支配下で、多くの修道院や教会が建設され、キリスト教文化が発展しました。中でもサン・ピエトロ・イン・チェル・ドーロ教会は、リウトプランド王によって建築され、聖アウグスティヌスやボエティウスが埋葬されたことで知られています。7世紀後半には、パヴィーアでランゴバルド独自の貨幣も発行されました。
773年、フランク王国のカール1世（シャルルマーニュ）が侵攻し、ランゴバルド王国を滅ぼしました。パヴィーアは、ランゴバルド王国終焉の地となり、その後はフランク帝国の一部となりました。
中世中期以後
中世においても、パヴィーアはイタリア王国の首都として認識され、神聖ローマ帝国の戴冠式もこの地で行われました。12世紀にはコムーネとして自治権を獲得しましたが、教皇派と皇帝派の対立においては皇帝派に属しました。1359年にはミラノのヴィスコンティ家の支配下に入り、学問と芸術の中心地として発展しました。1361年にはパヴィーア大学が設立されました。
近世
1525年のパヴィアの戦いは、都市の運命を大きく変えました。フランス軍が敗北し、パヴィーアはハプスブルク家の支配下に入りました。1713年以降はオーストリアの支配下となりましたが、1796年にナポレオンによって占領されました。1815年のナポレオン没落後、再びオーストリアの統治下に入りましたが、1859年の第二次イタリア独立戦争を経て、1861年にイタリア王国に統合されました。
行政
パヴィーアには、以下の分離集落（フラツィオーネ）があります。
Albertario, Cà della Terra, Cà de' Tedioli, Cantugno, Cassinino, Cittadella, Fossarmato, Mirabello, Molinazzo, Montebellino, Pantaleona, Villalunga
社会
パヴィーア県は、ワイン、コメ、穀物などの農産品で知られる肥沃な農業地域です。パヴィーア市の郊外には工業地区も発展しています。
教育
パヴィーア大学
1361年に設立された歴史ある大学です。法学校を中心に多くの学生を集めました。大学の建物は、バロック様式から新古典主義建築まで様々な様式が見られます。大学には植物園も併設されています。
みどころ
パヴィア大聖堂（Duomo di Pavia）: 1488年に工事が始まり、1898年に完成した大聖堂。中央ドームはイタリアで3番目の大きさを誇ります。
サン・ミケーレ・マッジョーレ教会（Chiesa di San Michele Maggiore）: ロンバルディア・ロマネスク建築の代表的な例。11世紀に再建され、フリードリヒ1世が戴冠式を行った場所です。
サン・ピエトロ・イン・チェル・ドーロ教会（San Pietro in Ciel d'Oro）: 聖アウグスティヌスやボエティウス、リウトプランド王が埋葬されている教会。現在の建物は1132年に建てられました。
サン・テオドーロ教会（San Teodoro）: 中世のパヴィーア司教に献堂されたロマネスク様式の教会です。内部には16世紀の都市鳥瞰図フレスコ画があります。
ヴィスコンテーオ城（Castello Visconteo）: 14世紀にヴィスコンティ家によって建てられた城。現在は市立美術館となっており、公園は子供たちの遊び場として利用されています。
サンタ・マリア・デル・カルミネ教会（Chiesa di Santa Maria del Carmine）: ゴシック様式のレンガ建築で、市内ではドゥオモの次に大きい教会です。
サンタ・マリア・ディ・カネパノーヴァ教会（Santa Maria di Canepanova）: ルネサンス様式の教会で、ブラマンテの手によるものです。
中世の塔: 町のスカイラインを形成しています。
チェルトーザ・ディ・パヴィーア（Certosa）: 近郊にあるカルトジオ会派修道院。
人物
著名な出身者
ジャン・ガレアッツォ・ヴィスコンティ: 14世紀末のミラノ公
ジョヴァンニ・アントニオ・アマデーオ: 15-16世紀の彫刻家・建築家
ジェロラモ・カルダーノ: 16世紀の数学者
チェーザレ・モーリ: 19-20世紀の地方行政官
カルロ・チポラ: 経済史学者
ジョヴァンニ・ロンバルディ: 自転車競技選手
交通
鉄道
パヴィーア駅は、ミラノ＝ジェノヴァ線の最初の開業区間の駅として1862年に開業しました。ミラノ近郊鉄道のS13線が30分ごとに運行しており、ミラノと結ばれています。
道路
アウトストラーダA53とA54がパヴィーアを通っています。
姉妹都市
ヴィリニュス（リトアニア）
ヒルデスハイム（ドイツ）
ブザンソン（フランス）
ベツレヘム（パレスチナ）
* ザキントス（ギリシャ）
もう一度検索
【記事の利用について】
タイトルと記事文章は、記事のあるページにリンクを張っていただければ、無料で利用できます。
※画像は、利用できませんのでご注意ください。
【リンクついて】
リンクフリーです。