フィリピン海溝

フィリピン海溝について

フィリピン海溝は、フィリピン諸島の東、フィリピン海の西端に位置する海溝です。その範囲は、サマル島北東からミンダナオ島東方を経て、インドネシアのハルマヘラ島北東沖にまで及びます。全長約1400km、幅約60kmに及ぶこの海溝は、ミンダナオ海溝やエムデン海溝とも呼ばれることがあります。

海溝の深さと特徴

フィリピン海溝の平均水深は6000mを超え、場所によっては8500mを超える深さに達します。特にミンダナオ島付近は非常に深く、最深部では1万メートルを超える地点も確認されています。レイテ島東方のケープジョンソン海淵（水深10,497m）、ミンダナオ島東方のエムデン海淵（水深10,400m）などがその代表例です。

プレートテクトニクス

この海溝は、ユーラシアプレート（スンダプレート）とフィリピン海プレートの境界に位置しており、フィリピン海プレートがユーラシアプレートの下に沈み込むことで形成されています。海溝の北部ではベンハム海膨が衝突しており、ルソン島南東部で海溝が途切れるという特徴もあります。

エムデン海溝の由来

エムデンという名称は、1927年4月にドイツ海軍の巡洋艦エムデンがこの海域で音響測深を行い、その深さを計測したことに由来します。国際的には、2008年に開催された大洋水深総図（GEBCO）の海底地形名小委員会において、この海溝は「フィリピン海溝」と命名され、エムデンという名称は、エムデン海淵として整理されました。

地震活動

フィリピン海溝周辺は地震活動が非常に活発な地域としても知られています。この地域を震源とする大規模な地震も度々発生しており、1990年にはマグニチュード7.7の直下型地震が発生しました。また、海溝型地震も頻発しており、2018年にはマグニチュード7.2、2019年にはマグニチュード6.4、6.6、6.5、2021年にはマグニチュード6.8、7.2の地震が観測されています。特に2021年8月12日に発生したマグニチュード7.2の地震では、小規模ながら津波も観測されており、近年、この地域における地震活動は特に活発化していると考えられています。

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