フィリベール・コメルソン

フィリベール・コメルソン（Philibert Commerson, 1727年11月18日 – 1773年3月13日）は、18世紀フランスを代表する植物学者、博物学者の一人です。彼はルイ・アントワーヌ・ド・ブーガンヴィルの世界一周探検航海に博物学者として参加し、数多くの植物を採集したことで、その名を知られています。

生涯

コメルソンは、1727年にフランスのシャティヨン・シュル・シャラロンヌで生まれました。幼い頃から植物学に深い興味を抱き、クリュニーのベネディクト派カレッジで学んだ後、1737年にモンペリエの医学部に進学しました。彼は珍しい植物に対する強い情熱を持ち、時には植物園から植物を盗み出すほどでした。1754年にはモンペリエ大学から医師の資格を取得しています。

医師となったコメルソンは、フランスやヨーロッパ各地で薬草などの採集旅行を行い、地中海の魚類に関する著作を著しました。この著作は、当時著名な博物学者であったカール・フォン・リンネの知己を得るきっかけとなりました。1760年には公証人の娘と結婚しましたが、妻は1762年に出産時に亡くなりました。

1768年、コメルソンはルイ・アントワーヌ・ド・ブーガンヴィルの世界一周探検航海に、天文学者ジェローム・ラランドの推薦により、博物学者として参加することになりました。この航海には、コメルソンの従者としてジャンヌ・バレという女性が男装して同行しており、彼女の存在は後に様々な文学作品に取り上げられることになります。

探検航海中、コメルソンは寄港地の各地で精力的に植物採集を行いました。彼が発見した植物は、60の新しい属、3000種にも及ぶと言われています。その中には、探検隊長の名前を冠したことで知られるブーゲンビリアも含まれています。

1768年、コメルソンは旧フランス島（現在のモーリシャス島）で、植民地監督官であり植物収集家でもあったピエール・ポワブルと出会いました。この出会いをきっかけに、コメルソンはブーガンヴィルの探検隊から離れ、ピエール・ソヌラと共に、胡椒の栽培種を探すためのフィリピンや東南アジア探検に参加しました。その後、1773年にマダガスカル島で植物研究を行った後、モーリシャスにて46歳で生涯を閉じました。

コメルソンの業績は、彼が献名されたアオイ科のヒゲミノキ属（Commersonia J.R.Forst. & G.Forst.) などにその名を残しています。彼の採集した膨大な植物標本は、現在も各国の博物館や植物園に所蔵されており、植物学の研究に貢献し続けています。

コメルソンの生涯は、植物学に対する情熱と探求心に満ちたものでした。彼の発見と研究は、18世紀の植物学の発展に大きく貢献し、その功績は今日でも高く評価されています。

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