フィレンツェ-ローマ高速線

フィレンツェ-ローマ高速線について

フィレンツェ-ローマ高速線（Ferrovia direttissima Firenze-Roma）は、イタリアの主要な高速鉄道路線であり、ディレッティシマフィレンツェ＝ローマとも呼ばれています。この名称は、イタリア語で「真っ直ぐなフィレンツェ・ローマ間の鉄道」を意味しており、その名の通り、路線は大幅な時間短縮を実現するために建設されました。

この路線の歴史は、1927年に開業したローマ＝フォルミア＝ナポリ線や、1934年開業のボローニャ＝フィレンツェ線といった既存の路線の成功に触発されて始まりました。これらの路線は、従来の線路に比べて大幅な所要時間短縮を可能にしました。

フィレンツェ-ローマ高速線は、ヨーロッパで最初に営業を開始した高速鉄道路線であり、1977年2月24日に一部区間が開業し、1992年5月26日に全線が開業しました。開業により、ローマ・フィレンツェ間は最速列車で1時間20分に短縮されました。現在、RFI（イタリア鉄道網）によって、新しい高速幹線鉄道（Linea Alta Velocità/Alta Capacità）として改修が進められており、欧州連合が定める欧州横断ネットワーク（TEN-T）の1号線の一部を形成しています。

路線の歴史

元々、ローマ・フィレンツェ間の既存路線は、いくつかの異なる鉄道路線と鉄道会社の目的によって開発された結果、曲線が多く高速化には適していませんでした。そのため、長年にわたり路線の直線化に関する多くの計画と調査が行われましたが、実現には至りませんでした。

第二次世界大戦後、旧来の路線に比べて大幅に短縮された237.5km（在来線区間を含めた全体の路線長は253.6km）の新線を建設することが決定しました。この新線は既存の路線を置き換えるのではなく、統合して使用されることが考慮されました。

1968年末から1969年初めにかけて、計画が承認され資金が提供されました。この計画は、ヨーロッパで現在運用されている高速新線としては最初の建設計画でした。

1970年6月25日に重要な区間の建設が開始されました。特に、パリア川に架かる全長5,375mのパリア橋梁は、25mの直線スパンが205箇所、50mのアーチスパンが5箇所で構成され、ヨーロッパで最も長い陸橋の一つとして知られています。1977年2月24日には、着工から6年以上の歳月を経て、最初の区間であるローマ・テルミニ駅・チッタ・デッラ・ピエーヴェ間138kmが開業しました。当初は5年で完成する予定でしたが、政治的な問題などにより建設が遅れました。

開業当初は、E444形電気機関車牽引のGran Comfort客車が使用されました。その後、1985年9月29日にチッタ・デッラ・ピエーヴェ・アレッツォ間51km、1986年5月30日にフィレンツェ・バルダル間20km、1992年5月26日に最終区間であるアレッツオ・バルダル間が開業し、全線が開通しました。

路線の特徴

この路線は、名称が示す通り、ほとんどの区間が直線的に建設されており、最急勾配も8‰と緩やかです。踏切などの平面交差はなく、軌道中心間隔は4m確保され、対向列車との衝撃が抑えられています。

通信システムと自動列車保安装置はRS4 Codiciで構成され、車内信号方式が採用されています。信号には9つのコードが使用されており、曲率半径は3,000mと大きく、最高速度250km/hでの運転が可能です。16.2kmごとに渡り線が設けられており、必要に応じてどちらの方向にも運転できるよう双単線方式が採用されています。

軌道にはUIC60kg/mレールが使用され、アーク溶接されており、2.30mのPC枕木に60cmごとにパンドロールクリップで固定されています。また、途中区間では在来線との接続も行われていますが、新線と相互に干渉することなく接続線が設けられています。渡り線に設けられた分岐器は100km/hに対応しており、15の分岐装置は160km/h以上にも対応しています。

今後の近代化

路線の近代化のため、交流電化25kVへの昇圧やETCS（欧州列車制御システム）などの新しい保安装置の導入により、最高速度を250km/hから300km/hに向上させる計画が検討されており、現在改良工事が進められています。これにより、さらなる所要時間の短縮が期待されています。

関連情報

• - ボローニャ-フィレンツェ高速線

もう一度検索