フェラーラ県

フェラーラ県：ポー川デルタとルネサンスの街

イタリアのエミリア＝ロマーニャ州北東部に位置するフェラーラ県は、アドリア海に面した東西に細長い形状をしています。北はポー川を挟んでヴェネト州と接し、独特の地理的特徴を持つ地域です。

地理と自然

フェラーラ県は、ポー川下流の南岸に広がり、ポー川デルタ地帯の主要部を占めています。地勢は非常に平坦で、最高地点でも海抜22メートルほどです。県東部の海岸線には、コマッキオ潟などの潟湖が点在し、多様な生態系を育んでいます。

ポー川は、県とヴェネト州との境界をなす重要な水系です。ポー川本流に加え、「ポー川5大支流」と呼ばれるポー・ディ・ゴーロ川、ポー・ディ・ヴォラーノ川も県内を流れています。また、南西部のボローニャ県やラヴェンナ県との境界線にはレーノ川が流れています。この豊かな水資源が、農業や漁業を支える基盤となっています。

主要都市と歴史

県都であるフェラーラ市は、県の中央やや西寄りに位置しています。人口は約9万4千人で、県内最大の都市です。フェラーラはルネサンス時代に栄えた都市であり、その歴史的中心部は「フェラーラ：ルネサンス期の市街とポー川デルタ地帯」としてユネスコの世界遺産に登録されています。

チェント市はフェラーラに次ぐ規模の都市で、県西部に位置します。他にも、コマッキオ、ボンデーノ、ポルトマッジョーレなど、それぞれ独自の特色を持つ都市や集落が点在しています。東部の沿岸地域では、観光業が盛んです。

行政区画

フェラーラ県は21のコムーネ（基礎自治体）から構成されています。21世紀に入ってからは、コムーネの統廃合が進み、より効率的な行政運営が目指されています。例えば、2014年にはフィスカッリア、2017年にはテッレ・デル・レーノ、2019年にはリーヴァ・デル・ポーとトレジニャーナが、それぞれ複数の小さなコムーネが合併して誕生した新しいコムーネです。

交通

フェラーラ県は、道路、鉄道、港湾、空港と、様々な交通手段が整備されています。

主要な道路としては、欧州自動車道路E55号線、高速道路A13号線、そして国道SS16号線、SS64号線、SS309号線などが、県内交通の要となっています。鉄道網も発達しており、パドヴァ＝ボローニャ線、フェラーラ＝リミニ線、スザッラ＝フェラーラ線、フェラーラ＝コディゴーロ線、ボローニャ＝ポルトマッジョーレ線が運行されています。

港湾としては、ポルト・ガリバルディが重要な役割を果たしています。また、フェラーラ＝サンルカ空港も存在します。これらの交通インフラが、県内経済の活性化に貢献しています。

文化と人物

フェラーラは、ルネサンス文化が花開いた都市として知られています。世界遺産に登録された街並みは、その歴史を今に伝えています。また、フェラーラ県は、宗教家ジローラモ・サヴォナローラ、作曲家ジローラモ・フレスコバルディ、画家グエルチーノ、天文学者ジョヴァンニ・バッティスタ・リッチョーリ、軍人・政治家イタロ・バルボ、そして実業家フェルッチオ・ランボルギーニ（ランボルギーニ創業者）など、数多くの著名人を輩出しています。

フェラーラ県は、歴史、文化、自然が調和した魅力的な地域です。ポー川デルタ地帯の豊かな自然とルネサンスの街並みのコントラストは、訪れる人を魅了することでしょう。

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