フェラーリ・126C4

フェラーリ126C4：1984年シーズンの挑戦と栄光への足跡

1984年、スクーデリア・フェラーリは、ハーベイ・ポスルスウェイト設計によるフォーミュラ1マシン、126C4でF1世界選手権に挑みました。このマシンは、V6ターボエンジンを搭載した126Cシリーズの4代目であり、レギュレーション変更に対応した数々の改良が施されています。

126C4：進化したパワーと空力

1984年シーズンのレギュレーションでは、レース中の給油が禁止され、燃料タンク容量は220Lに制限されました。この制約を克服するため、126C4はウェーバーとマニエッティ・マレリが共同開発した電子制御燃料噴射装置を搭載。Tipo 031エンジンは、公称660馬力（予選モードでは800馬力）という圧倒的なパワーを誇りました。

シャシーは、126C3と同様に、ラジエターとインタークーラーを後部に配置したアローシェイプが特徴です。短いサイドポンツーンと、ロールバーが露出したフラットなエンジンカウル、左右2つのNACAダクトからの吸気口が、その独特のスタイルを際立たせていました。

シーズン中盤には、さらなる性能向上を目指して改良が加えられました。具体的には、ラジエターの配置を縦から横に変更、ホイールベースを延長、そしてリアサスペンションをプルロッド式からプッシュロッド式に変更した126C4Mが登場しました。「M」はイタリア語のModificato（モディフィカート）、つまり「改造された」という意味です。

シーズン終盤には、空力性能の向上を目指し、126C4M2が投入されました。このマシンでは、アンダーパネルとディフューザーによるグラウンドエフェクトを積極的に採用。ラジエター位置を前進させ、マクラーレンのマシンを彷彿とさせる、縦長で後方を絞り込んだコークボトルラインに似たサイドポンツーン形状を採用することで、空力特性の大幅な改善を図りました。

1984年シーズンの戦績：栄光と悔しさ

126C4は開幕戦ブラジルGPから投入され、第3戦ベルギーGPでは、新加入のミケーレ・アルボレートがポールポジションから優勝を飾るという鮮烈なデビューを飾りました。しかし、シーズンを通して安定したパフォーマンスを発揮することはできず、2位4回が最高成績。予選で10位以下に沈むレースも4回ありました。

その結果、コンストラクターズランキングでは2位を獲得したものの、16戦中12勝を挙げたマクラーレン・MP4/2には大きく水を空けられ、86点差という大差でチャンピオンシップを逃しました。この年は、フェラーリにとって1999年まで続く、15年間のタイトル獲得のない時代の始まりでもありました。

126C4のスペック

結論：挑戦と進化の象徴

フェラーリ126C4は、挑戦と進化を象徴するマシンでした。技術革新とドライバーの努力にもかかわらず、マクラーレンの前に屈した1984年シーズンでしたが、その経験は、フェラーリの今後の発展に大きく貢献したことは間違いありません。このマシンは、F1の歴史において重要な1ページを刻んだ、忘れられない1台として記憶されています。

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