フェラーリ・F310B

フェラーリF310B：1997年シーズンの激闘を彩った名車

1997年のF1世界選手権でスクーデリア・フェラーリが投入したF310Bは、数々のドラマを生み出した名車として知られています。このマシンは、フェラーリ在籍時のジョン・バーナードによる最後の設計であり、その後、ロス・ブラウンとロリー・バーンによって改良が加えられました。シーズンを通して使用され、フェラーリチームにとって重要な役割を果たしました。

マシン概要：革新と進化の軌跡

F310Bは、前年に使用されたF310の改良型という位置づけですが、実際にはほぼ新規設計のマシンでした。特徴的なのは、ハイノーズとスクエアな形状のフロントノーズです。また、サイドプロテクターの縮小と後退したサイドポンツーンにより、フロントタイヤ周りの空力性能を最大限に引き出す設計が採用されています。さらに、ステアリングホイールには様々な電子制御スイッチが搭載され、ドライバーの操作性を向上させていました。

しかし、設計者であるバーナードは、フェラーリ側の保守的なデザインへの要求に不満を感じていました。シーズンが始まると、ブラウンとバーンによる改良が重ねられ、最終的にバーナードはフェラーリを離れ、アロウズに移籍することになります。

シーズン中盤以降も進化は続き、第11戦ハンガリーGPからは燃料タンクを拡大した軽量モノコックが導入され、マシンの性能は飛躍的に向上しました。また、最終戦を前にした第16戦日本GPでは、ダウンフォースによってたわむフレキシブル・フロントウィングが投入されるなど、開発は終盤まで続けられました。

カラーリングは、フェラーリ伝統の赤でしたが、スポンサーであるマールボロを意識した、従来よりも明るい赤となりました。このカラーリングについては、イギリス人F1ジャーナリストのナイジェル・ルーバックから「赤というよりオレンジ」と酷評されるなど、賛否両論ありました。

1997年シーズン：シューマッハとヴィルヌーヴの激闘

1997年シーズン、ミハエル・シューマッハはエースドライバーとして、ウィリアムズのジャック・ヴィルヌーヴと激しいドライバーズタイトル争いを繰り広げました。日本GPでは、チームメイトのエディ・アーバインの好サポートもあり、シーズン5勝目を挙げ、ヴィルヌーヴの失格という幸運も重なり、最終戦へ1ポイントリードで臨みました。

しかし、最終戦ヨーロッパGPではシューマッハとヴィルヌーヴの接触事故が発生し、シューマッハはリタイア。この事故について、シューマッハに未必の故意があったと判断され、ドライバーズランキングからの除外という厳しいペナルティが科せられました。

このシーズンを通して、F310Bは、フェラーリが久しぶりにF1タイトル争いに積極的に絡むことができるだけの戦闘力を持っていることを証明しました。

スペック

関連玩具

タミヤから、F310BのフランスGP仕様の1/20プラモデルが発売されています。また、1/10RCシリーズとして、F103シャーシを搭載したモデルも過去に発売されていましたが、現在は絶版となっています。

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