フェリックストウ F5L

フェリックストウ F5L



フェリックストウ F5L（Felixstowe F5L）は、イギリスのフェリックストウ海軍工廠で開発された飛行艇で、設計はジョン・シリル・ポートによるものです。この機体は、第一次世界大戦中にアメリカ合衆国での生産を目的にフェリックストウ F.5を改設計したものであり、戦争機としての重要な役割を果たしました。民間機型はエアロマリン75（Aeromarine 75）としても知られています。

設計と開発



フェリックストウ F5Lの設計は、アメリカのグレン・カーチスが手掛けた飛行艇カーチス H-12を基にしています。ジョン・シリル・ポートは、これを基にして実用性を向上させるべく大幅な改良を加えました。特に、艇体の構造は薬品処理されたリネンからベニヤ材に変更されることで強度が増し、エンジンには330hp（後に400hpに強化）のアメリカ製リバティ L-12Aを採用しました。さらに、イギリスで試作機の製造とテストが行われた後、フィラデルフィアのアメリカ海軍航空工廠へ設計が移され、戦時に適した形でさらなる改良が実施されました。そのため、アメリカでの生産もカーチス社によって行われたため、カーチス F5Lとも呼ばれています。最終的に、F5Lはアメリカ合衆国で137機が海軍航空工廠で、60機がカーチスで、30機がカナディアン・エアプレーンズで生産されました。

運用



F5Lは、第一次世界大戦後にアメリカ海軍によって採用され、1928年に後継機のPN-12にその役割を引き継がれるまで、アメリカ海軍の哨戒機として広く使用されました。また、民間機型であるエアロマリン75は、10名の乗客を抱え、エアロマリン・エアウェイズによってキーウェストとハバナの間で運航されていました。さらに、ニューヨークとアトランティックシティ間、クリーブランドとデトロイト間では、アメリカ郵便公社初の国際航空郵便輸送にも関わりました。

運用国




事故



1923年1月13日、エアロマリン・エアウェイズが運航するエアロマリン75 コロンバス号がキーウェストからハバナに向かう途中、エンジンの故障によりフロリダ海峡に不時着水しました。波高3-4.5メートルという荒れた海況の中、艇体は浸水し、乗客4名が命を落としましたが、乗員2名と乗客3名は近くのフェリー船H.M.フラッグラーによって救助されました。

現存機



現在、アメリカ海軍に所属していたF5Lの艇体とフロートは国立航空宇宙博物館に保存されています。ただし、構造を展示するために一部の木材が取り外されており、一般の観覧には供されていません。

仕様




性能



  • - 最大速度: 140km/h
  • - 巡航速度: 119km/h
  • - 失速速度: 92km/h
  • - 航続距離: 1,340km

武装




このように、フェリックストウ F5Lは様々な用途で多くの国に運用され、現代の航空機における重要な歴史を持つ機体であることが分かります。

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