フェンダー・サイクロン

フェンダー・サイクロン：多様なバリエーションと個性的なサウンド

フェンダー・サイクロンは、1997年後半にフェンダー社から登場した個性的なエレクトリックギターです。ムスタングを思わせるボディ形状ながら、独自のピックアップ構成やスケール、そして多様なモデル展開が特徴です。本稿では、メキシコ製、アメリカ製、スクワイア製など、様々なサイクロンモデルを詳細に解説します。

メキシコ製サイクロン：アルダーボディとミディアムスケール

フェンダーのメキシコ工場で生産されたオリジナルのサイクロンは、ムスタングと似たボディシェイプを持ちながらも、ボディ厚はトレモロユニット搭載のためムスタングより厚く設計されています。ボディ材には高級感のあるアルダー材が採用されており、当時の日本製復刻ムスタングに使用されたバスウッドとは異なる点も特徴です。ピックアップはフロントにTex-Mexシングルコイル、リアにアトミック・ハムバッカーを搭載し、3ウェイ・トグルスイッチで切り替えることができます。スケールはギブソン・レスポールと同じ24 3/4インチのミディアムスケールで、フェンダーギターとしては珍しい仕様です。ストラトキャスタータイプのシンクロナイズド・トレモロを搭載し、幅広いサウンドメイクを可能としています。2007年には、II、HHモデルを含め生産終了となりました。

サイクロンIIとサイクロンHH

サイクロンIIは、3基のジャガーシングルコイルピックアップを搭載したモデルです。詳細については、別途フェンダー・サイクロンIIページを参照ください。

サイクロンHHは、オリジナルサイクロンをベースに、フロントとリア両方にハムバッカーピックアップを搭載したモデルです。リアピックアップはオリジナルと同じアトミック・ハムバッカー、フロントにはサンタアナ・ハムバッカーが搭載され、パワフルなサウンドを実現しています。カラーバリエーションはブラック、ガンメタル、オレンジの3色展開でした。

アメリカ製サイクロンとカスタム・サイクロン：ノイズレスピックアップとレースセンサー

2000年には、日本限定で短期間アメリカ製サイクロンが販売されました。これは、スタック構造のヴィンテージ・ノイズレスピックアップ2基と、ステンレスサドルの2点式シンクロナイズド・ヴィブラートを搭載したモデルです。カスタム・サイクロンは、同様の仕様で、黒カバーのレースセンサーピックアップとスチールサドルの2点式トレモロを搭載。フェンダー・カスタムショップで製作された、より高級なモデルです。これらのアメリカ製サイクロンは2001年に生産終了しましたが、2002年に「USサイクロン・アップデート」として再発売されました。このモデルでは、ピックアップがホット・ノイズレスに変更され、よりパワフルなサウンドが実現しています。

スクワイア・サイクロン：コストパフォーマンスに優れたモデル

フェンダーの廉価ブランドであるスクワイアから、2004年にヴィンテージ・モディファイド・シリーズの一つとしてスクワイア・サイクロンが登場しました。フロントシングルコイル、リアハムバッカーというピックアップ構成はオリジナルのメキシコ製サイクロンと同じ配置で、外観も非常に似ています。アルダーボディ、メイプルネック、ローズウッド指板という、高級感のある仕様でありながら、コストパフォーマンスに優れたモデルとして人気を博しました。ペグは、他のサイクロンとは異なり、ネジを使わない独自の固定方式を採用しています。2009年には日本限定で復刻販売され、2020年にはSquier Paranormal Seriesとして復活、ジャガータイプのピックアップセレクターを搭載したモデルが発売されました。

著名なミュージシャンによる使用例

多くのミュージシャンがサイクロンを使用しており、その中には[木村カエラ]]、山中さわお]、YOKO([Noodles)、Char、藤戸じゅにあ(ザ・ジェッジジョンソン)、草野マサムネ]、岸田([[岸田教団&THE明星ロケッツ)、桃野陽介(MONOBRIGHT)、あゆか(MARIA)そして森広隆などが含まれます。それぞれのミュージシャンが、サイクロンの個性的なサウンドを活かした演奏を披露しています。

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