フォスフォロサウルス

フォスフォロサウルス：白亜紀の海を彩った小型モササウルス

フォスフォロサウルス（Phosphorosaurus）は、モササウルス科に属する絶滅したウミトカゲの一種です。ハリサウルス亜科に分類され、エオナタトルやハリサウルス、プルリデンスといった近縁種とともに、後期[[白亜紀]]マーストリヒチアンの海に生息していました。かつてはハリサウルスのシノニムとされていましたが、現在では独立した属として認められています。

発見と種

フォスフォロサウルスは、ベルギーで発見されたP. ortliebiと、日本の北海道むかわ町穂別地域で発見されたP. ponpetelegansの2種が知られています。P. ortliebiはマーストリヒチアン期全体に分布していた一方、P. ponpetelegansは初期の層からのみ見つかっています。

特徴

フォスフォロサウルスは、全長約3メートルと他のモササウルス類に比べて小型ですが、ハリサウルス亜科としては平均的な体格でした。特に、P. ponpetelegansの標本HMG-1528は、頭骨の約8割が変形せずに残っており、その独特な形状が明らかになりました。後頭部が広く、吻部が細くなっているのが特徴で、これにより左右の眼球の視野が重なる範囲は約35°と広くなり、より広範囲での立体視が可能になったと考えられます。他のモササウルス類では、吻部が太く視野を阻害することがありますが、フォスフォロサウルスは吻部が細いため、立体視を有効に活用できたと考えられています。

ハリサウルス亜科の仲間は、細長い体型とヒレの発達が不十分であるため、遊泳能力はあまり高くなかったと推測されています。また、小さく間隔の広い歯を持つことも特徴です。

分類

フォスフォロサウルス属は、ベルギーの古生物学者ルイ・ドロによって1889年に設立され、模式種はP. ortliebiです。当初、不完全な頭骨に基づいて記載されましたが、1996年にハリサウルス属に再分類されたものの、頭骨の形状の差異から後に再びフォスフォロサウルス属として独立しました。

系統

小西卓哉らによる2015年の系統分析に基づくと、フォスフォロサウルスはハリサウルス亜科に属し、エオナタトルやプルリデンスなどと近縁であることが示唆されています。

生態

フォスフォロサウルスの形態的な特徴から、彼らは立体視を駆使して、暗い海中でイカやハダカイワシなどを捕食する夜行性の動物だったと考えられています。この仮説は、現代のヘビにおいて立体視が発達した種が夜行性であるという事実に基づいています。この生活様式は、他のモササウルス類との間で棲み分けを可能にしていたと考えられます。

文化利用

P. ponpetelegansのタイプ標本HMG-1528は、2017年4月1日にむかわ町指定文化財第4号に登録されました。同日には、他のモササウルス類であるMosasaurus hobetsuensisやM. undulatusのタイプ標本も登録されています。

まとめ

フォスフォロサウルスは、白亜紀の海で独自の進化を遂げたモササウルスの一種です。その独特な形態や生態は、当時の海洋生態系を理解する上で重要な手がかりとなっています。

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