フォルクスワーゲン・タイプ4

フォルクスワーゲン タイプ4：空冷時代の最終章

フォルクスワーゲン タイプ4は、1968年から1974年にかけて西ドイツのフォルクスワーゲン社が製造販売した乗用車です。当時、VW411、VW412という名称で販売されていましたが、現在ではビートル（タイプ1）、トランスポーター（タイプ2）、1500/1600（タイプ3）に続くモデルとして「タイプ4」と呼ばれています。

この車は、空冷水平対向4気筒エンジンを搭載した、ビートルの血統を受け継ぐ最後の空冷エンジン乗用車として知られています。タイプ3よりも一回り大きなボディサイズを持ち、2/4ドアセダンと2ドアワゴンの3種類のボディタイプが用意されました。

技術革新と進化

タイプ4は、単なるビートルの拡大版ではなく、数々の革新的な技術が採用されていました。具体的には、モノコックボディ、ストラット式フロントサスペンション、セミトレーリングアーム式リアサスペンション、油圧式クラッチ、そしてVW初となる3速フルオートマチックトランスミッションの搭載などが挙げられます。さらに、4ドアセダンもタイプ4で初めてラインナップされました。これらは、後のフォルクスワーゲン車の開発に大きな影響を与えたと言えるでしょう。

エンジンスペックは当初1,679ccツインキャブレターで68馬力でしたが、1969年には電子制御インジェクションに変更され、80馬力に強化された412Eが登場しました。しかし、インジェクションユニットの信頼性問題により、1973年9月にはツインキャブレターに戻され、排気量を1,795ccに拡大し85馬力を達成した412Sへと進化を遂げました。バッテリーは運転席下、ガソリン燃焼式ヒーターは後部に設置されるなど、独特のレイアウトも特徴の一つです。

販売と市場での評価

タイプ4は1968年のデビューから1974年まで販売され、6年間で36万7,728台が生産されました。これは、フォルクスワーゲン初のFF車であるK70の生産台数をわずかに上回ったものの、タイプ1やタイプ3と比較すると著しく低い数字でした。西ドイツの小型ファミリーカー市場は、オペル・レコルトが圧倒的なシェアを占めており、タイプ4はその競争に敗れたと言えるでしょう。

アメリカ市場でも、アンダーパワーと評され、11万7,110台の販売にとどまりました。日本においても、当時の輸入総代理店であったヤナセを通じて販売されましたが、タイプ1やタイプ3ほどの成功は収められませんでした。

まとめ

フォルクスワーゲン タイプ4は、空冷エンジン搭載フォルクスワーゲン最後の乗用車として、多くの技術革新を取り入れた意欲的なモデルでした。しかし、市場競争の激化や、信頼性、パワー不足といった問題を抱え、商業的には成功したとは言えませんでしたが、フォルクスワーゲンの歴史において重要な位置を占めるモデルであることに間違いはありません。その革新的な技術は後のモデルへと受け継がれ、現在のフォルクスワーゲン車の礎を築いたと言えるでしょう。

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