フォンテーヌ (カツラメーカー)

フォンテーヌ (FONTAINE)

「フォンテーヌ」は、大手ヘアケア企業である株式会社アデランスが手掛ける、女性向けの既製品ウィッグ（レディメイド・ウィッグ）専門ブランドです。かつては、この事業を担っていた独立した企業名（フォンテーヌ株式会社、2010年8月31日まで存続）でもありました。

沿革

ブランドの起源は1964年にさかのぼります。当時、大阪に本社を置いていた鐘淵化学工業株式会社（現在の株式会社カネカ）が開発した合成繊維「カネカロン」を使用した合成繊維ウィッグ、「フォンテーヌ」を発売したことが始まりです。当初は同社の女性用ウィッグ販売部門として活動していましたが、1970年には子会社として株式会社フォンテーヌサービスが正式に設立され、事業基盤を固めました。

1979年、フォンテーヌは鐘淵化学工業から独立を果たします。同時期には、関西テレビのローカル生番組「ノックは無用!」内の人気コーナー「魅惑の変身」にウィッグを提供し、スタジオの観衆から選ばれた一般女性が華麗に変身する様子が放送されました。これにより、ブランドの認知度を飛躍的に向上させました。

1985年には株式会社アデランスに買収され、その傘下に入ります。1990年代には本社を東京に移転。その後も女性用ウィッグだけでなく、理容・美容器具、繊維雑貨、インテリア装飾品など、幅広い製品を取り扱いました。

大きな転換期は2009年に訪れます。同年11月には、アデランスグループの女性向けオーダーメイド・ウィッグやヘアケアサービスを展開していた「レディスアデランス」とブランドを統合し、新たな「フォンテーヌ」として生まれ変わりました。これに伴い、ロゴマークも刷新されています。翌2010年7月には、グループ全体で医療向けウィッグ事業を本格化させるのに合わせ、「ラフラ（レディメイド）」や「ラフラ・エアフィット（オーダーメイド）」といった医療用ウィッグシリーズを発売しました。

組織再編も進められ、2010年9月1日には、アデランスと共に親会社であるアデランスホールディングスへ吸収合併されます。アデランスホールディングスはその後ユニヘアーに社名変更しますが、2011年7月には再びアデランスへと社名を戻しています。こうした二度の社名変更を経ても、「フォンテーヌ」のブランド名は現在も維持され、アデランスの主要ブランドとして展開されています。

店舗形態

「フォンテーヌ」の直営店舗は全国に展開されており、立地条件や取り扱い製品に応じて、主に以下の6つの店舗形態が存在します。

フォンテーヌ: 既製品ウィッグを専門に取り扱う店舗です。主に路面店や百貨店内の売場（百貨店内の場合は「フォンテーヌコーナー」と呼ばれます）に出店しています。
フォンテーヌクチュール: ブランド統合後に誕生した形態で、既製品だけでなく、オーダーメイド・ウィッグ（「フォンテーヌイヴ」シリーズなど）や医療向けウィッグ（「ラフラ」シリーズ）を含む、女性用ウィッグ全般を取り扱います。新規オープンや、従来の「フォンテーヌ」店舗が改装や品目追加を経て転換した店舗に見られます。百貨店内の場合は「フォンテーヌクチュールコーナー」となります。
フォンテーヌ&レディスアデランス / フォンテーヌ&アデランス: 2014年9月から展開されている、既製品ウィッグの「フォンテーヌ」とオーダーメイド・ウィッグの「レディスアデランス」の機能を一体化した女性向けサロンです。自髪のヘアケアやスカルプケア、カット・カラー・パーマといったサービスも提供しており、過去の「フォンテーヌクチュールサロン」の後継にあたります。一部には、男性向けサロンを併設した「フォンテーヌ&アデランス」形態もあります。
フォンテーヌクチュール&アデランス: 2015年4月より展開された融合型店舗で、「フォンテーヌクチュール」をベースに、アデランスブランドの男性用オーダーメイド・ウィッグも取り扱うウィッグとスカルプ＆ヘアケア用品の専門店です。
スワニー by フォンテーヌ: 2012年10月に始まったフォンテーヌの姉妹ブランドです。サービス内容はフォンテーヌに準じますが、つけ毛や部分ウィッグなどのより手頃な価格帯の製品を中心に扱っています。主にイオングループのGMS（総合スーパー）やイトーヨーカドー内に出店しています。
ルネ オブ パリス by フォンテーヌ: 2014年9月に開始した、50代女性を主なターゲットとする新業態です。アメリカのウィッグメーカー「ルネ オブ パリス」のファッションテイストを取り入れた店舗デザインが特徴で、フォンテーヌブランドに加え、同ブランドの直輸入品も扱い、品揃えを強化しています。ヘアケア用品や美容機器も取り扱っており、ショッピングモールやファッションビルに出店しています。

なお、かつては「レディスアデランス」から改称した女性向けサロン「フォンテーヌクチュールサロン」を展開していましたが、こちらは2014年に再度「レディスアデランス」に名称が戻されています。近年は、アデランスグループのブランド力を活かすため、一つの店舗で複数のブランドを取り扱う融合店舗が増加傾向にあります。

その他

テレビコマーシャルには、浅野ゆう子さんや萬田久子さんなど、多くの女優やタレントが出演してきました。CMソングとしては、「オー・プリティ・ウーマン（Oh, Pretty Woman）」が使用された時期があります。また、かつては「はなまるマーケット」や「徹子の部屋」などの人気番組で、女性向けウィッグのCMがスポンサードされていました。

関連情報として、親会社であるアデランスの項目も参照されると良いでしょう。また、音楽グループの「0930」は、フォンテーヌの電話番号がグループ名の由来となっています。

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