フォード・モンデオ

フォード・モンデオ：世界を舞台にしたDセグメントカーの歴史

フォード・モンデオは、フォード社が世界市場をターゲットに開発したDセグメント級の乗用車です。セダン、ハッチバック、ステーションワゴンのボディタイプを展開し、欧州のシエラ、アジアとオーストラリアのテルスター、北米のテンポといった既存モデルを統合する形で、1993年に誕生しました。

初代モデル (Mk1/Mk2型、1993年-2000年)：60億ドルの開発費と革新的な技術

初代モンデオの開発には、当時としては破格の60億ドルもの費用が投じられました。これは、ほぼ完全に新設計であり、既存モデルとの共通部品がほとんどなかったことによるものです。フォードUSAとフォード・オブ・ヨーロッパがデザインとマーケティングを分担し、CDW27プラットフォームを採用。前輪駆動が基本でしたが、Mk1型には四輪駆動モデルも存在しました。

開発には、最新の技術が惜しみなく投入されました。MTX-75型5速MTやCD4E型4速ATといった新しいトランスミッション、洗練されたサスペンションにより、同セグメントトップクラスのハンドリングと乗り心地を実現しました。また、安全性能にも配慮し、運転席サイドエアバッグ（当時としては画期的）、サイドインパクトバー、シートベルトプリテンショナーなどを標準装備。上級グレードにはABS、トラクションコントロールシステムなども搭載されました。

室内も、ベロア調トリム、充実した収納スペース、パワーウィンドウ、パワーミラーなど、快適装備が充実していました。日本市場では1994年に発売され、エアバッグやABSを標準装備した点が大きな話題となりました。価格設定も魅力的で、国産車との競争力を示しました。

1996年には、デザイン、ヘッドランプ、後席の居住性などを改良したMk2型へと移行。コスト削減のため一部装備の簡素化も行われましたが、全体的には好評を得ました。

2代目モデル (Mk3型、2000年-2007年): ジャガーXタイプとの姉妹車関係

2000年に発表された2代目モンデオは、フォーカスで培われた技術をベースに、さらに洗練された操縦性と安全性、そして人間工学に基づいた設計が採用されました。ジャガー・Xタイプと姉妹車関係にあり、デザインもフォーカスと共通のエッジの効いたスタイリングが特徴です。後席の居住性も大幅に向上し、全体的な品質も向上しました。2005年にはマイナーチェンジを行い、エクステリアの一部を改良しました。

日本市場では2001年に発売され、先代とは異なり、2.5リッターV6エンジンが2.494ccに変更されたことで、日本の税制上の不利も解消されました。2005年には、V6 3リッターエンジンと6速MTを搭載した高性能モデルST220も限定発売されました。

3代目モデル (Mk4型、2007年-2012年): ボルボとの共同開発プラットフォーム

2007年に登場した3代目モンデオは、ボルボが開発したEUCDプラットフォームを採用し、サイズが拡大されました。フォード・キネティックデザインと呼ばれる新しいデザインテーマが採用され、先代とは大きく異なる力強いスタイルとなりました。ボディタイプは、セダン、ハッチバック、ステーションワゴンの3種類が用意されました。

4代目モデル (Mk5型、2013年-2022年): 北米のフュージョンとの姉妹車

4代目モンデオは、北米市場で販売されているフュージョンとボディを共用する姉妹車となりました。サイズは先代とほぼ同じですが、エンジンはダウンサイジング化が図られ、1.0L～2.0LのEcoBoostエンジンや1.5L～2.0LのTDCIディーゼルエンジンが搭載されました。ステーションワゴンと、ハッチバックセダンのボディタイプも用意されました。

5代目モデル (2022年-): 中国市場限定モデル

2022年に発表された5代目モンデオは、中国市場限定モデルとなり、中国で生産されています。

モータースポーツでの活躍

モンデオは、イギリスツーリングカー選手権(BTCC)、ドイツ・スーパーツーリング選手権(STWカップ)、全日本ツーリングカー選手権(JTCC)など、世界各地のツーリングカー選手権に参戦し、数々の勝利を収めました。特にBTCCでは、アラン・メニュ選手らによって、数々のタイトルを獲得しました。しかし、オーストラリア・スーパーツーリングカー選手権では、事故によりドライバーが死亡する悲劇も経験しました。

車名の由来

車名の「モンデオ」は、ラテン語で「世界」を意味する「ムンデュス (MUNDUS)」に由来しています。世界戦略車としてのフォードの意気込みを表しています。

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