フォード・レンジャー

フォード・レンジャー：世界を舞台に活躍するピックアップトラック

フォード・レンジャーは、フォード・モーター社が製造・販売するミッドサイズピックアップトラックです。世界市場において、北米・南米向けとオセアニア・アジア・ヨーロッパ向けで大きく異なるモデル展開が特徴です。それぞれの市場のニーズに合わせた仕様の違いは、歴史的背景や販売戦略を反映しています。

北米・南米仕様：伝統と進化

北米・南米で販売されるフォード・レンジャーは、1983年の初代モデル登場以来、幾度のモデルチェンジを経て進化を遂げてきました。初代はフォード・クーリエの後継として発売され、コンパクトなボディとディーゼルエンジン搭載車（一部三菱製ディーゼルターボエンジン搭載車を含む）が特徴でした。また、トヨタ・ハイラックスや日産・ダットサントラックと競合するモデルでした。この初代をベースに、1984年にはSUVのブロンコIIも登場しました。

2代目は初代のシャーシを継承しつつ、ディーゼルエンジンが廃止されました。一方、SUV版のブロンコIIは短命に終わりますが、レンジャーは生産が継続され、後のエクスプローラーなどの開発の礎となりました。3代目ではボディサイズが大きくなり、デザインも丸みを帯びたスタイルへ変更されました。この世代から、北米で販売されていたマツダ・Bシリーズ（マツダ・プロシード）が、フォード・レンジャーのOEM車となりました。

4代目は10年以上にわたるロングセラーモデルとなり、何度かのマイナーチェンジが行われました。北米仕様のマツダ・Bシリーズも同時にモデルチェンジを行いました。さらに、この世代では電気自動車版の「レンジャーEV」が1500台限定で生産されました。ライバル車種が4ドアモデルを導入する中、レンジャーは最後まで2ドアモデルを堅持しました。そして2011年に生産が終了しました。

2019年には、北米市場からの撤退期間を経て、グローバルモデルとして5代目レンジャーが登場しました。アジア市場を中心とした好調な販売実績を受け、北米市場への復帰を果たしました。パワートレインには2.3L直列4気筒エコブーストエンジンと10速ATが搭載され、ボディタイプもレギュラーキャブ、エクステンドキャブ、ダブルキャブの3種類が用意されました。北米以外では、タイ生産のディーゼルエンジン搭載モデルがオセアニアやヨーロッパに輸出されています。ヨーロッパ市場ではディーゼルエンジンのRanger Raptorも発売されましたが、北米市場での販売は未定です。また、レンジャーをベースにブロンコが復活し、フォルクスワーゲンとの提携によりフォルクスワーゲン・アマロックとしてOEM供給も開始されました。

オセアニア・アジア・ヨーロッパ仕様：グローバルな展開

オセアニア、アジア、ヨーロッパで販売されるフォード・レンジャーは、1998年にマツダ・Bシリーズの姉妹車として登場したフォード・クーリエをルーツとしています。現在はマツダ・BT-50とプラットフォーム、エンジンなどを共有する兄弟車として展開されており、シングルキャブに加えダブルキャブ仕様もラインアップされています。廉価でコンパクトなピックアップトラックという特徴から、学生層を中心に高い人気を誇ります。また、警察車両や空港の作業車など、業務用車両としても広く利用されています。

まとめ

フォード・レンジャーは、北米市場を中心に販売され、グローバルモデルとしても展開される人気ピックアップトラックです。歴史と伝統、そして技術革新を融合したフォード・レンジャーは、今後も世界中のユーザーに支持される存在であり続けるでしょう。様々な地域や用途に合わせたモデルバリエーションは、その高い汎用性と人気を裏付けるものです。

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