フクラスズメ

フクラスズメ（脹雀）

フクラスズメ（学名：Arcte coerula）は、チョウ目ヤガ科に属する中型の昆虫です。その名は、スズメが冬の寒さに耐えるために羽毛を逆立てる様子を由来としています。一見、スズメに似た姿をしていますが、実際にはスズメガ科とは異なる昆虫になります。

分布

このフクラスズメは、日本全国に生息していますが、これは日本に限らず、インド、東南アジア、台湾、中国、及び朝鮮半島の沿海地方にも広く分布しています。これにより、さまざまな地域で観察されることが特長です。

形態

成虫の前翅の長さは約3から4センチメートルです。背中と翅は黒褐色であり、一方、体の腹部は黄白色を呈しています。胴体は太く、全身には短い毛が密生しているため、まるで毛で覆われたような印象を与えます。また、触角は細く、前翅は体よりもわずかに大きく、後翅は前翅の約2/3の大きさがあります。

特に後翅には水色の太い弧状の模様が二本存在しており、静止している時には翅を後ろに閉じ、矢のような形になります。この特徴を観察するには、捕まえる必要があるため、慎重な観察が求められます。

幼虫の特徴についても触れておくと、細長いケムシであり、最終段階の幼虫は全長7センチメートルに達します。頭部と腹脚は、橙色または黒色の色合いを持ち、体側には黒と白の線があり、背中には白黒の細かい縞模様が見られます。

生態

フクラスズメは夏と秋の年2回にわたって発生します。主に森林の周辺に生息しつつも、人家近くにも姿を現し、特に夜になると灯火に引き寄せられることがあります。冬季には成虫のまま越冬し、人家に進入することで人々に驚きを与えることもあります。

食物としては、熟した果物の発酵した汁や樹液などを好んで摂取し、特に夜間にはカブトムシが集まるクヌギの樹液のところによく姿を現します。

幼虫は主にイラクサ科の植物、特にイラクサやカラムシを食べることが多いです。幼虫は危険を感じると反応を示し、頭部を反らせて緑色の液体を吐き出しながら頭を激しく振ります。その外見は非常に派手であり、時には大量発生が見られることもあり、その場合、食草を丸坊主にしてしまうこともあります。ただし、外見に反して毒は持っていませんが、人々には嫌悪されることが多いです。

これらの点を考慮すると、フクラスズメは観察するには興味深い生物であり、その生態や特徴は多岐にわたります。

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