フセイン・チャラヤン

フセイン・チャラヤン（Hussein Chalayan、1970年生まれ）は、トルコ系キプロス人としてキプロスの首都ニコシアで生まれ、現在はイギリスを拠点に活動するファッションデザイナーです。自身の名を冠したファッションブランドは、革新的なデザインとコンセプトで国際的な評価を得ています。

幼少期に両親の離婚を経験し、12歳で父親と共にイギリスへ移住。イギリス国籍を取得後、父はレストラン経営を始めました。中等教育を経てリーミントン・スパの大学に進学したチャラヤンは、そこで「肉の切身をプリントした布」という斬新なアイデアを着想し、セントラル・セント・マーチンズへの入学を果たします。

セント・マーチンズでの卒業コレクション「土中に埋められていた服」は、彼の名を一躍有名にしました。これは、服を土中に埋めて腐敗していく過程を研究するという実験的な試みで、卒業コレクションは後に有名百貨店ブラウンズのショーウィンドウを飾りました。

1995年にロンドンでコレクションデビューを果たし、ロンドン・ファッションデザイン・アウォードで100の出展作品の中から1位を獲得。その賞金を元に、同年のロンドン・ファッション・ウィークに出展しました。

1998年からは、セイ・ニューヨーク(TSE New York)のデザイナーを3年間務めました。2001年には、スポンサーの倒産により資金難に陥りますが、イタリアのジボ・コー社の資金援助を受けてブランドを再建。翌年には拠点をロンドンからパリに移し、春夏コレクションからパリコレクションに参加しました。2003年にはフレグランスも発表し、活動の幅を広げています。

2006年には、ファッション界への貢献が認められ、大英帝国勲章を受章。2008年には、プーマのクリエイティブディレクターに就任し、2010年からはプーマとのコラボレーションブランド「アーバンモビリティー(urban mobility)」を発表しました。

2012年初夏コレクション以降は、ブランド名を「チャラヤン(Chalayan)」に改め、更なる成長を続けています。彼の作品は、テート・モダンやヴィクトリア＆アルバート美術館にも展示されており、ミニマルでエレガントな服作りは、常に高い評価を受けています。

チャラヤンのデザインは、ファッションという枠を超え、アートやテクノロジー、文化といった様々な要素を融合させた、独創的な世界観を表現しています。彼の革新的なアプローチは、現代のファッションシーンに大きな影響を与え続けています。

もう一度検索