フューチャー・ショック (ハービー・ハンコックのアルバム)

フューチャー・ショック (Future Shock)

『フューチャー・ショック』は、1983年にアメリカのジャズ・ミュージシャン、ハービー・ハンコックがリリースしたスタジオ・アルバムです。当初、日本では「フューチュア・ショック」と表記されていました。このアルバムは、ジャズとヒップホップを融合させた新しいスタイルを追求した作品として位置づけられています。

背景

本作は、ビル・ラズウェルとマイケル・バインホーンという、マテリアルというバンドの中心メンバーの協力を得て制作されました。ハンコックは、マルコム・マクラーレンの楽曲「バッファロー・ギャルズ」を耳にし、DJ技術の一環としてスクラッチという手法に興味を持つようになりました。アルバムには、DJグランドミキサーD.STがターンテーブルを担当し、特にシングル「ロックイット」は、スクラッチが使用された初期のメジャー・ヒット曲として注目されています。

アルバムのタイトル曲は、カーティス・メイフィールドの名曲のカヴァーで、元々は彼の1973年のアルバム『バック・トゥ・ザ・ワールド』からシングルリリースされたもので、ハンコックの解釈によって新たな息吹が吹き込まれました。

反響

『フューチャー・ショック』は、アメリカのBillboard 200で最高43位を記録し、ハンコックにとっては『モンスター』（1980年）以来の全米トップ100入りを果たしました。また、ジャズ・アルバム・チャートでは2位、R&Bアルバム・チャートでは10位に入るなど、大きな注目を集めました。さらに、1994年にはRIAAからプラチナ・ディスクの認定を受け、長期的に売り上げを伸ばしたことを裏付けています。

イギリスのアルバムチャートでは27位に達し、オーストリアでは5週間連続でトップ10入りするなど、国際的な成功も収めました。

シングル「ロックイット」は、アメリカのBillboard Hot 100で71位、全英シングルチャートで最高8位を記録し、再びハンコックの名前を広めるきっかけとなりました。更に「オートドライヴ」と「フューチャー・ショック」もそれぞれ33位、54位に達し、成功したシングルとなりました。

評価

収録曲の「ロックイット」は、第26回グラミー賞で最優秀R&Bインストゥルメンタル・パフォーマンス賞を受賞し、これはハンコックにとって初のグラミー受賞でもありました。音楽評論家のRichard S. Ginellはオールミュージックで本作に対して3.5点を付けて「このレコードは非常に不思議で、機械的かつ非人間的な質感が興味深い生命力を与えている」と評価しています。また、ロバート・クリストガウはBプラスを付け、「ロックイット」はハンコックのキャリアの中でも最高のポップ・チューンとなっているとしました。

収録曲

1. ロックイット - "Rockit" - 5:28
2. フューチャー・ショック - "Future Shock" (Curtis Mayfield) - 8:05
3. TFS - "TFS" - 5:47
4. アース・ビート - "Earth Beat" - 5:13
5. オートドライヴ - "Autodrive" - 6:27
6. ラフ - "Rough" - 6:58

リマスターCDボーナス・トラック:

• - ロックイット（メガ・ミックス） - "Rockit (Mega Mix)" - 6:18

参加ミュージシャン

• - ハービー・ハンコック - シンセサイザー、ピアノ、キーボード
• - マイケル・バインホーン - キーボード
• - ビル・ラズウェル - エレクトリックベース
• - グランドミキサーD.ST - ターンテーブリズム、バックグラウンド・ボーカル
• - ピート・コージー - エレクトリック・ギター
• - ダニエル・ポンセ - バタ・ドラム
• - スライ・ダンバー - ドラムス、ボンゴ
• - ドワイト・ジャクソン - リード・ボーカル
• - ラマー・ライト - リード・ボーカル
• - バーナード・ファウラー - バックグラウンド・ボーカル

このように、『フューチャー・ショック』はハービー・ハンコックの音楽的進化にとって重要なアルバムであり、多様な音楽スタイルの融合を体現した作品です。

もう一度検索