フライス (工具)

フライス：多様な形状と用途を持つ切削工具

フライスとは、円盤状や円筒状の刃物に多数の切れ刃を備え、回転させて材料を切削する工具の総称です。フライス盤やマシニングセンタといった工作機械で使用され、金属加工において重要な役割を担っています。材質は高速度鋼（ハイス）や超硬合金が一般的ですが、切刃にCBNや焼結ダイヤモンドを用いたものもあります。その名称は、ドイツ語やフランス語、オランダ語の「Fraise」（襞襟を意味する言葉）に由来しています。

フライスの種類と特徴

フライスは、その形状や用途によって様々な種類に分類されます。以下、代表的なフライスについて解説します。

1. エンドミル

エンドミルは、外周と端面に切れ刃を持つフライスです。複雑な形状の溝加工や、曲面加工、凹状の加工に適しており、汎用性の高さが特徴です。

2. 正面フライス（フェイスミル）

フェイスミルは、工具の回転中心軸に垂直な面を切削するフライスです。平面の仕上げ加工や、大きな面積の切削に用いられます。

3. 平フライス

平フライスは、外周に切れ刃を持ち、平面の切削に特化したフライスです。効率的な平面加工を実現します。

4. 側フライス

側フライスは、円盤状のフライスで、外周と両側面に切れ刃を持ちます。溝加工やスリ割加工など、側面からの切削に用いられます。

5. 溝フライス

溝フライスは、外周にのみ切れ刃を持つフライスで、溝加工に特化しています。正確な溝加工が求められる用途に適しています。

6. 角フライス

角フライスは、側フライスと同様に横から切削しますが、90度以下の角ができるような切削跡を残します。特殊な形状の加工に用いられます。

7. ダブテールカッター

ダブテールカッターは、刃先から刃元まで角度が付いたフライスで、アリ溝加工に用いられます。正確なアリ溝の形成が可能です。

8. 歯切用フライス

歯切用フライスは、歯車の歯を加工するためのフライスです。歯車の精度を確保するために、高度な技術が求められます。

9. 総形フライス

総形フライスは、特殊な形状の切れ刃を予め成形したフライスです。通常のフライスでは加工が困難な複雑な形状の加工に用いられます。

10. 外丸フライス

外丸フライスは、円柱形ではなく、円柱の角の部分が丸くなったフライスです。丸みを帯びた形状の加工に用いられます。

11. スレッドミル

スレッドミルは、マシニングセンタでネジ切りを行うためのフライスです。総形フライスの一種とも考えられ、側面にネジの溝が成形されており、回転する工具を螺旋状に動かすことでネジを切ります。この加工には、3軸同時ヘリカル補間機能付きのNC制御装置を搭載したマシニングセンタが必要です。NCプログラムによって、雄ねじと雌ねじの両方の加工が可能です。

まとめ

フライスは、その多様な種類と高い加工精度から、金属加工において欠かせない工具です。それぞれのフライスの特徴を理解し、適切なフライスを選択することで、効率的で高品質な加工を実現することができます。

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