フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン (映画)

映画『フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン』詳細解説

『フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン』（原題：Fly Me to the Moon）は、2024年に公開されたアメリカのロマンティック・コメディ映画です。グレッグ・バーランティが監督を務め、スカーレット・ヨハンソンとチャニング・テイタムが主演しています。

あらすじ

物語の舞台は1969年。アメリカとソ連が宇宙開発競争を繰り広げていた時代。ケネディ大統領が「1960年代中に人類を月面着陸させる」と宣言したアポロ計画は、その期限を迎える年となっていました。

NASAはアポロ11号による人類初の月面着陸を目指していましたが、計画の遅れと膨大な予算に国民の不満が高まっていました。そこで、大統領の側近であるモー（ウディ・ハレルソン）は、広報のプロであるケリー・ジョーンズ（スカーレット・ヨハンソン）をNASAに雇い入れます。

ケリーは、アポロ計画を盛り上げるため、架空インタビュー映像や企業とのタイアップなど、あらゆる手段を使ったプロモーション活動を行います。その強引な手法は、打ち上げ主任のコール・デイビス（チャニング・テイタム）をはじめとするアポロ11号のスタッフから反感を買い、対立を生みます。しかし、ケリーのロビー活動によって予算確保に成功したことや、コール自身の過去を知るにつれて、2人の関係は次第に変化していきます。

そんな中、ケリーはモーから、月面着陸が失敗した場合に備え、フェイク映像を撮影するように指示されます。過去に詐欺まがいの行為に関与したことのあるケリーは、その条件を呑み、極秘裏にフェイク映像の準備を進めます。そのことがきっかけで、ケリーとコールの間には溝ができてしまいます。

月面着陸の直前、ケリーはイギリスへの逃亡を図りますが、モーの裏切りを知り、コールに全てを打ち明けます。発射直前に着陸船のカメラが故障するというトラブルが発生しますが、コールらの機転によって解決します。しかし、どちらの映像がテレビに中継されるのか、スタッフは確認する術がないまま、着陸船「イーグル」は月面へと向かうのでした。

キャスト

ケリー・ジョーンズ / ウィニー：スカーレット・ヨハンソン（日本語吹替：佐古真弓）
コール・デイヴィス：チャニング・テイタム（日本語吹替：小松史法）
ランス・ヴェスパータイン：ジム・ラッシュ（日本語吹替：関俊彦）
ヘンリー・スモールズ：レイ・ロマーノ（日本語吹替：村治学）
モー・バーカス：ウディ・ハレルソン（日本語吹替：内田直哉）
ルビー・マーティン：アンナ・ガルシア（日本語吹替：種市桃子）
他

制作

当初、この映画は「プロジェクト・アルテミス」というタイトルで、スカーレット・ヨハンソンとクリス・エヴァンスが主演し、ジェイソン・ベイトマンが監督を務める予定でした。しかし、監督の交代やスケジュール調整により、主演と監督が変更されました。監督にはグレッグ・バーランティ、主演にはチャニング・テイタムが起用され、脚本はローズ・ギルロイが担当しました。

脚本執筆には、SFがいかにアメリカ国民の心に浸透したかを分析した書籍『Marketing the Moon』が参考にされました。また、主要撮影は2022年10月27日にアトランタで始まりました。

公開

当初はApple TV+での配信が予定されていましたが、テスト試写の結果、劇場公開に変更されました。ソニー・ピクチャーズが配給を担当し、2024年7月12日にアメリカとカナダで公開されました。日本では7月19日に公開されました。

評価

興行収入は全世界で約3,950万ドルと、製作費1億ドルに対して振るいませんでした。批評家からは賛否両論がありましたが、観客からは比較的肯定的な評価を受けています。

Rotten Tomatoesでは、批評家の65%が肯定的評価を与え、「スカーレット・ヨハンソンとチャニング・テイタムの相性が良い」と評されました。Metacriticでは100点満点中53点と平均的な評価でしたが、観客からの評価は高く、CinemaScoreでは平均「A-」の評価を得ています。

その他

この映画は、アポロ計画陰謀論を下敷きにしたフィクションですが、当時の社会情勢や宇宙開発競争の様子を垣間見ることができます。また、ロマンティックコメディとしての要素も強く、主演2人の掛け合いや恋模様も楽しめます。

関連作品

カプリコン・1（1977年の映画で、NASAが火星探査の捏造を行うという陰謀論を題材とした作品）

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