マルクス兄弟

マルクス兄弟の概要

マルクス兄弟（Marx Brothers）は、アメリカ・ニューヨーク出身のユダヤ系ドイツ移民で構成されるコメディ集団で、1910年代から1940年代にかけて舞台や映画で活躍しました。この兄弟は、チコ、ハーポ、グルーチョ、ガンモ、ゼッポの5人で構成され、特にチコ、ハーポ、グルーチョの3人が中心的な役割を果たしました。彼らのユニークなスタイルや表現方法は、後に続くコメディ界に多大な影響を与えました。

生い立ちと始まり

兄弟は、当時ドイツ領だったアルザス地方にルーツを持ちながら、貧しい家庭に生まれ育ちました。父親のサム・マルクスが仕立て屋であったため、兄弟たちは早い段階から母親の影響を受け、パフォーマンスの才能を開花させることができました。母親の指導のもと、彼らは旅回りのヴォードヴィルに出演し、アメリカ各地を巡りながらトレーニングを積んでいきました。1915年にゼッポが加わり、しばらくは全員揃っての公演を行っていましたが、その後はガンモが徴兵され、グルーチョ、チコ、ハーポ、ゼッポの4人で活動を続けました。

舞台から映画へ

初期の活動では音楽中心だった彼らは、次第に喜劇を主体に変化していきました。1924年、ミュージカル・レヴュー『I'll Say She Is』でブロードウェイに進出し、その後も『The Cocoanuts』や『Animal Crackers』といったミュージカル・コメディで成功を収めることになります。1929年には映画デビューを果たし、ブロードウェイで確立したキャラクターを映画化することでさらに人気を博しました。

映画『御冗談でショ』（1932年）は大ヒットを記録し、続く作品も多くの観客を喜ばせました。しかし、1933年に公開された『我輩はカモである』は、当時としてはあまりにも先進的な内容とされ、興行的には失敗に終わりました。これを受けて彼らは契約を更新せず、新たにMGMと契約し、よりストーリー重視の作品作りへと移行していきました。1935年に公開された『オペラは踊る』や1937年の『マルクス一番乗り』は、兄弟の最大のヒット作品となりました。

晩年と影響

映画界への貢献後、1940年代以降は個々に活動を続けることになりますが、兄弟が集う機会もあり、テレビや映画で再び共演することもありました。特にグルーチョはラジオやテレビでホストを務め、作家としても精力的に活動しました。1980年代に入ると兄弟たちの人気は再燃し、特に日本では多くのコメディアンに影響を与えました。横山エンタツやザ・ドリフターズなど、彼らのスタイルを模倣する者も数多く現れました。

評価と遺産

マルクス兄弟は、ナンセンスコメディの代表として、後世に多大な影響を与えました。特に彼らのスピード感あふれるギャグや独自のキャラクター設定は、今でも多くの芸人や映画作りに活かされています。彼らが築き上げたコメディのスタイルは、時代を超えて多くの人々に愛され続けています。1974年にはアカデミー名誉賞を受賞するなど、映画界における業績も後世に語り継がれています。

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