フランク・ダーニー

フランク・ウィリアム・ダーニーのプロフィール

フランク・ウィリアム・ダーニー（Frank William Dernie, 1950年4月3日生まれ）は、イギリス出身の著名なF1エンジニアであり、「空力のスペシャリスト」として広く認知されています。彼の卓越した技術と独自のアプローチは、数々のF1チームにおける成功に寄与しました。

経歴

ダーニーはランカシャーで育ち、インペリアル・カレッジ・ロンドンで機械工学を学びました。卒業後はデビッド・ブラウン・インダストリーズでギアのデザインを短期間の間手掛け、その後ガラード社でレコードプレーヤーの設計に従事しました。1976年にはヘスケスF1チームに参加し、308Eの設計に携わりましたが、チームの解散とともに2シーズンの後に退社しました。

ウィリアムズチームでの功績

1979年、ダーニーは新たに設立されたウィリアムズ・グランプリ・エンジニアリングに移籍し、パトリック・ヘッドの下で空力設計を担当しました。彼は最初のアシスタントとして、FW07の製造を手助けしました。この車両はウィリアムズにとって重要な勝利をもたらし、ダーニーは1980年代半ばまでチームの空力活動をリードしました。

ダーニーは、ウィリアムズ独自の風洞施設の設立にも重要な役割を果たしました。彼は、インペリアル・カレッジの風洞を使い続けるべきか、ディドコットに新たな専用風洞を構築すべきかをパトリック・ヘッドに提案し、最終的には独自の風洞施設を持つF1チームとなったことで、空力開発が加速しました。また、彼はF1エンジニアの中で初めてコンピュータを活用して設計を支援し、独自のマシンコードを開発する必要がありました。さらに、ダーニーはデータロガーの実装やアクティブサスペンションシステムの設計でも先駆者となりました。

後のキャリア

1989年、ダーニーはロータスに移籍し、テクニカルディレクターとして活躍。ロータス・101やロータス・102の設計を担当しましたが、チームが衰退する中で1990年末に離脱しました。1991年以降は、TWRベネトンやリジェなどのチームで技術責任者として活躍し、数々のプロジェクトに取り組みました。

1996年にはアロウズに移籍し、同社のA18を設計しましたが、1997年にウォーキンショーがテクニカルディレクターに他の人物を任命したことで、再びアロウズを離れることとなりました。

その後、ダーニーはローラ・カーズを再建し、2003年にはウィリアムズに再入社。2007年にはトヨタF1チームのシニアアドバイザーとしての役職に就くなど、F1界において多くの経験を積んできました。

エピソード

ダーニーがロータスに加入する際、ジェラール・ドゥカルージュが設計した100Tについて、「ちょっと柔軟すぎるシャーシですね」とコメントしたところ、メカニックたちの笑いを誘いましたが、ドゥカルージュ自身は激怒したそうです。また、パトリック・ヘッドはダーニーの才能を高く評価し、「彼ほど空力に特化した者はいない」と称賛しました。加えて、F1界屈指の模型好きでもあり、リジェ在籍中に木谷真人に対して、自チームの車を模型化するならすべての情報を提供すると語ったエピソードもあります。

ダーニーの流儀や彼の業績は、F1エンジニアリングの歴史において重要な位置を占めており、その影響力は今でも多くのエンジニアに引き継がれています。

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