フランシスコ・マシアス・ンゲマ

フランシスコ・マシアス・ンゲマ：赤道ギニア初代大統領、独裁者への道

フランシスコ・マシアス・ンゲマ（1924年1月1日 - 1979年9月29日）は、赤道ギニアの初代大統領として知られています。しかし、その統治は独裁的であり、多くの国民に苦しみをもたらしました。

権力掌握と独裁体制の確立

1969年3月5日、大統領就任直後にクーデター未遂が発生。これを鎮圧したンゲマは、権力集中を進め、1972年までに国家の全権力を掌握しました。彼はすべての政党を自身が率いる単一政党、単一国民労働党（PUNT）に統合し、同年には自らを終身大統領と宣言。政敵への激しい弾圧を開始しました。

ンゲマは明確なイデオロギーを持っていたとは言えませんが、過激な国家主義者であり、好戦的な人物でした。マルクス主義者であることを公言する一方で、フランシスコ・フランコやアドルフ・ヒトラーを賞賛し、自身を「マルクス主義者・ヒトラー主義者」と定義することもありました。彼の独裁政権下では、赤道ギニアはソビエト圏やフランスに接近し、鎖国政策を実施しました。

恐怖政治と国家の荒廃

ンゲマの政権は、泥棒政治、蔓延する汚職、市民の極貧、反知性主義、個人崇拝、ファン人民族主義と虐殺、反ナイジェリア感情、名称のアフリカ化によって特徴づけられました。彼は反植民地主義者として活動していましたが、権力を握ると、自身の名前を何度も変更し（メズ・ム・ヌゲメ、マシ・ヌゲマ・ビヨゴ・エグエ・ンドンなど）、個人崇拝を強化しました。 「マシアス以外に神はいない」という言葉を国の標語としたことからも、その異常さがうかがえます。

また、彼は赤道ギニア中央銀行総裁を殺害し、国営銀行を機能不全に陥れ、国庫に残された資金を略奪するなど、私腹を肥やしました。恐怖政治により、多くの反体制的な国民が粛清され、国民の3分の1が国外へ脱出するという異常事態が発生しました。

クーデターと処刑、そして亡命

1979年、甥で刑務所長のテオドロ・オビアン・ンゲマが主導し、ガボン軍とモロッコ傭兵の支援を受けたクーデターが発生。ンゲマは打倒され、マラボで公開裁判にかけられた後、死刑判決を受け処刑されました。彼の妻と子供たちは、失脚時に北朝鮮へ亡命しています。

まとめ

フランシスコ・マシアス・ンゲマは、赤道ギニアの初代大統領として、独立の立役者としての一面を持ちながらも、独裁的な統治によって国家を疲弊させ、多くの国民に苦しみを与えた人物です。彼の恐怖政治と私欲にまみれた政策は、赤道ギニアの歴史に暗い影を落としました。

関連項目

フレデリック・フォーサイス
戦争の犬たち
ビオコ自治運動
ビオコ島（1973年から1979年まで、マシアス・ンゲマ・ビヨゴ島と呼ばれた）

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