フランシスコ・モラサン

フランシスコ・モラサン：中央アメリカ連邦の夢を追った英雄

フランシスコ・モラサン・ケサーダ（1792年 - 1842年）は、中央アメリカ連邦共和国において重要な役割を果たした政治家であり、軍人です。彼は連邦の第2代、かつ最後の大統領として、激動の時代を駆け抜けました。

生涯と政治的背景

モラサンは、現在のホンジュラスの首都であるテグシガルパで生まれました。1823年に中央アメリカがメキシコから独立すると、アメリカ合衆国のような連邦制を支持する自由主義派と、中央集権制を主張する保守主義派が対立しました。自由主義派が勝利し、1824年に中央アメリカ連邦共和国が成立、マヌエル・ホセ・アルセが初代大統領に選出されます。

しかし、アルセは連邦制の廃止を図り、反対派を武力で攻撃。これに対し、モラサンは1827年のラ・トリニダードの戦いで勝利を収め、ホンジュラスの元首として、また自由主義派のリーダーとして台頭しました。エルサルバドルの元首からの救援要請に応じ、1828年にはサンサルバドルを陥落させます。そして1829年、モラサン率いる自由主義派の軍は連邦の首都グアテマラシティを制圧し、アルセを亡命に追い込みました。

大統領としての政策と連邦の崩壊

モラサンは1830年から1834年、そして1835年から1839年までの2期、中央アメリカ連邦共和国の大統領を務めました。1834年には、連邦の首都を保守派の拠点であったグアテマラシティからサンサルバドルへと移転します。自由主義者として、モラサンは出版と信教の自由を推進し、十分の一税の廃止や政教分離を進め、カトリック教会の権力制限を図りました。

しかし、これらの政策は保守主義派やカトリック教会からの強い反発を招きました。反対派はラファエル・カレーラの元に結集し、中央アメリカからの独立を目指しました。カレーラは1837年に反乱を起こしてグアテマラを分離させ、他の国々もこれに追随。モラサンの2期目の任期が終わる前に、連邦共和国は事実上崩壊してしまいました。

連邦再興の試みと最期

1839年、モラサンは中央アメリカ連邦共和国に残った唯一の国、エルサルバドルの元首に選出されます。1840年にはグアテマラのカレーラと戦いますが敗北し、ペルーへと亡命。1842年、コスタリカのブラウリオ・カリージョを破ってその元首となりますが、中央アメリカ連邦共和国の再興を計画中に暗殺されました。

遺産

フランシスコ・モラサンの理想は、中央アメリカの統一という未完の夢とともに、今もなお人々の心に刻まれています。彼の肖像はホンジュラスの5レンピラ紙幣に描かれ、その功績は称えられています。

モラサンの生涯は、中央アメリカの政治的混乱と、統一への希望を象徴する出来事として、歴史に深く刻まれています。

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