フランス共同体

フランス共同体は、1958年10月にフランス連合から改編され成立した、国家および植民地などによる連合体です。これは、フランス第五共和政憲法下において、加盟地域や旧フランス植民地から独立した加盟国に対し、高度な独立性を認めつつも、通貨、防衛、外交、そして安全保障といった重要な分野においては、フランスが一定の影響力を保持するという特徴を持っていました。

共同体の設立は、1958年9月に行われた国民投票が大きな契機となりました。この投票では、各海外領土に対し「共同体に参加するか、独立を選ぶか」という二択が提示されました。その結果、ギニアは95%という圧倒的な割合で共同体への加盟を拒否し、独立の道を選択しました。一方で、「アフリカの年」と称される1960年1月から11月にかけて独立を果たした他の多くの加盟地域は、共同体への加盟を承認し、フランス共同体内の独立国として新たなスタートを切りました。

しかし、この共同体の試みは長くは続きませんでした。翌1961年には、コートジボワール、オートボルタ（現在のブルキナファソ）、ニジェール、ダオメー（現在のベナン）の4か国が相次いで共同体からの離脱を決定しました。この状況を受け、共同体の創設を主導したシャルル・ド・ゴール大統領自身が「共同体はもはや存在しない」と述べるに至り、その事実上の消滅を認めざるを得なくなりました。ド・ゴール大統領のこの言葉は、共同体に対する痛恨の思いを表していると言えるでしょう。もっとも、第五共和政憲法の規定としては、1995年8月4日の改正までその名残をとどめていました。

フランス共同体の短命な歴史は、植民地支配からの脱却を目指す各国の独立運動と、フランスが旧植民地に対する影響力を維持しようとする思惑との間で生じた矛盾を浮き彫りにしました。共同体は、独立国に対するフランスの影響力維持を目的としていましたが、加盟国の独立意識の高まりと、それに伴う離脱によって、その目的を果たすことができませんでした。

関連事項として、フランコフォニー国際機関やコモンウェルスが挙げられます。これらの組織は、フランス語圏の国々や、かつてのイギリス連邦の国々が、文化や経済などの面で連携を深めることを目的としています。フランス共同体とは異なり、これらの組織は現在も活動を続けており、国際社会における文化交流や協力において重要な役割を果たしています。

フランス共同体 - コトバンク

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