フランス共和国保安機動隊

フランス共和国保安機動隊（CRS）について

フランス共和国保安機動隊（Compagnie républicaine de sécurité, CRS）は、フランス国家警察に所属する警備警察部隊です。その歴史は第二次世界大戦中の1944年12月8日に、占領地の治安維持部隊として警察庁（Sûreté Nationale）の隷下に創設されたことに始まります。

歴史

1945年3月7日、シャルル・ド・ゴール将軍の指令により、70個中隊が20個管区群に編成され、組織体制が整備されました。当初は公共安全局（direction de la sécurité publique）の隷下で準局扱いでしたが、戦後の1948年には警察全体の総予備部隊として再編されました。また、アルジェリア情勢の緊迫化に伴い、1952年4月23日からはフランス領アルジェリアに3個中隊が派遣されました。1966年に警察庁が改組され国家警察総局（DGPN）が設立された後も、CRSは主要な内部部局の一つとして活動を続けています。

任務

CRSは、以下のような多岐にわたる任務を遂行しています。

雑踏警備・暴動鎮圧: 1968年のグルノーブルオリンピック警備や五月革命への対処を契機に、これらの任務が追加されました。
交通警察: 1960年より高速道路交通警察隊が編成され、1964年には白バイ隊も組織されました。
捜索救難: 1955年から山岳救助、1958年からは水難救助も担当するようになりました。

その他、国家警察の総予備として、公共安全中央局（DCSP）、国境警察中央局（DCPAF）、警護部（SDLP）への増援としても活動しています。

編制

CRSの中央組織は、パリに所在する保安機動隊中央局（DCCRS）であり、国家警察総局（DGPN）の主要な内部部局の一つです。地方組織としては、7個管区警備局の下に以下の部隊が編成されています。

60個法執行中隊
1個警護中隊
国家警察音楽隊
9個高速警察中隊および6個管区白バイ隊
山岳警備隊

武装

通常業務時の武装は、国家警察の他の警察官と同様に拳銃が基本ですが、必要に応じて短機関銃も使用されます。創設初期には、占領地の治安維持やアルジェリアでの対反乱作戦など、準軍事的な作戦も展開していたため、MAS 36やKar98k小銃、FM mle1924/29軽機関銃などの個人装備や部隊装備が使用されていました。拳銃についても、当初はワルサーP38、後にMAS 50など、軍と同様の9x19mmパラベラム弾仕様のものが採用されていました。1970年代に入ると、犯罪者の重武装化やテロの脅威に対抗するため、必要に応じてAMD 5.56（ルガー・ミニ14）自動小銃が配備されました。その後、2003年には内務省の法執行官共通装備としてSIG SAUER SP2022拳銃が、2016年にはパリ同時多発テロ事件を受けて、H&K G36小銃が特殊部隊と共通の装備として導入されました。

その他の情報

国家憲兵隊の機動憲兵隊は、所属と活動地域が異なるものの、CRSと類似した任務を遂行するため、しばしば混同されます。国家警察が都市圏を管轄するのに対し、国家憲兵隊はそれ以外の地域を管轄します。また、CRSの制服は紺色で赤色のCRSの文字が入ったパッチがついているのに対し、機動憲兵の制服は黒色です。

CRSは、フランスの治安維持において重要な役割を担っており、その活動は多岐にわたります。創設から現在に至るまで、様々な変化に対応しながら、フランスの安全を守るために活動を続けています。

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