フランス国立遠隔教育センター

フランス国立遠隔教育センター (CNED)

フランス国立遠隔教育センター（Centre national d'enseignement à distance; CNED）は、フランスの国民教育省が管轄する公立の教育機関で、主に遠隔教育に特化しています。センターはテクノポール・ドュ・フュチュロスコープ（シャッスヌイユ＝デュ＝ポワトゥー、ヴィエンヌ県）に本部を構え、全国にグルノーブル、リール、リヨン、ポワティエ、レンヌ、ルーアン、トゥールーズ、ヴァンブ、さらにはマルティニーク、グアドループ、レユニオンなどの拠点を運営しています。

現在、CNEDでは約250の講座が開設されており、登録者数は約23万人に達しています。特に日本においては、フランス人向けの日本語教育や日本語教員養成、また海外や帰国子女に対する教育の分野で重要な役割を担っています。初心者から中級者向けの日本語講座が提供されており、多くの学生が参加しています。

CNEDの使命

CNEDの主要な使命は、以下のように多岐にわたります：
1. 学校教育の一環としての遠隔教育を促進すること。
2. 高等教育や職業教育、教員資格認定試験の準備など、生涯教育の提供。
3. デジタル教育による学業不振児への支援や、小学生の英語およびドイツ語学習のサポート。
4. 特別支援教育への取り組み。

沿革

CNEDの歴史は1939年にさかのぼります。当時、戦争の影響により教育システムが混乱していたため、パリに通信教育サービスが設立されました。1944年には、国立通信教育センター（CNEPC）に改名され、リセ（フランスの中等教育機関）として認定されることとなりました。この頃、特に病気の子供や元捕虜、収容所からの生還者への教育に重点が置かれました。

その後、CNEDは異なる名称の変更を経て、1986年に現在の名称が定められ、国民教育省の管轄下に置かれました。この時点での登録者数は20万人を超えました。1996年には国家プロジェクトとしてインターネットによる教育が始まり、特に2009年には「オンライン・アカデミー」が設立され、小学校から高校までの教育に対応した教材がダウンロード可能となりました。

さらに、2013年にはコレージュ1年生の学業不振児を対象としたデジタル学業支援プログラムD’COLが開始されました。同年度には、小学生向けの英語教育を強化するために「English for Schools」が立ち上げられ、2016年には同様の趣旨でもう一つのプログラム、「Deutsch Für Schulen」が設計されました。

また、障害者公務参入基金（FIPHFP）との連携により、障害者向けのデジタル教育も提供されています。これらの取り組みを通じて、CNEDは教育へのアクセス向上に寄与し続けています。

まとめ

CNEDは単なる教育機関に留まらず、生涯学習やデジタル教育において重要な役割を果たしています。また、日本でもフランス語圏の学生に向けた日本語教育を推進し、異文化交流の促進にも寄与しています。これからもその影響力が広がることが期待されます。

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