フランソワーズ・デュール

フランソワーズ・デュール（Françoise Durr, 1942年12月25日 - ）は、フランス領アルジェリアのアルジェ出身の元女子テニス選手です。1967年の全仏選手権では、女子シングルスとダブルスの両方で優勝を飾り、その名をテニス史に刻みました。シングルスの自己最高ランキングは3位で、現役時代にはシングルスで26勝、ダブルスで42勝を挙げるなど、輝かしい成績を残しています。2003年には、その功績が認められ国際テニス殿堂入りを果たしました。

デュールのキャリアは、テニス界が大きく変貌を遂げた「オープン化措置」の時期と重なります。これは、4大大会にプロ選手の出場を解禁するという画期的なものでした。1963年に女子テニスの国別対抗戦であるフェデレーション・カップ（現在のフェドカップ）が創設されると、デュールはフランス代表として第1回大会から出場しました。

1965年以降、デュールは公式戦のシングルスで着実に勝利を重ね、1967年の全仏選手権でついに地元フランスの観客を熱狂させます。シングルス決勝では、レスリー・ターナー（オーストラリア）を相手に4-6, 6-3, 6-4の逆転勝利を収め、さらにダブルスでも優勝を果たし、見事“単複2冠”を達成しました。当時、全仏選手権はまだオープン化されていなかったため、現在のような「全仏オープン」という名称ではありませんでした。この優勝から2000年にマリー・ピエルスが優勝するまで、全仏選手権の女子シングルス部門において、フランス人選手は33年間も優勝から遠ざかることになります。

4大大会の女子ダブルスでは、1967年の全仏選手権を含め、合計12回の優勝を誇ります。1975年のウィンブルドン女子ダブルス決勝では、沢松和子とアン清村のペアと対戦し、5-7, 6-1, 5-7で惜しくも敗れましたが、この時のデュールのパートナーはベティ・ストーブ（オランダ）でした。

引退後、デュールは様々な名誉職に就き、1988年には「女子テニス協会名誉会員」に選出されました。1993年には、「フランス・テニス連盟」初の「女子テニス監督」に就任し、後進の育成に尽力しました。

また、デュールは女子ツアーに愛犬を同伴した最初の選手としても知られています。その犬は「トップスピン」と呼ばれ、デュールのラケットをコートまで運ぶ姿は、多くのテニスファンに愛されました。コートサイドでその愛らしい姿を見せるトップスピンは、当時のテニス界における人気者だったと言えるでしょう。

4大大会優勝記録

全仏オープン
女子シングルス：1回 (1967年)
女子ダブルス：5回 (1967年-1971年)
混合ダブルス：3回 (1968年, 1971年, 1973年)
ウィンブルドン
混合ダブルス：1回 (1976年)
1975年女子ダブルス決勝：沢松和子＆アン清村組に敗北
全米オープン
女子ダブルス：2回 (1969年, 1972年)

外部リンク

フランソワーズ・デュール - 国際テニス殿堂のプロフィール （英語）
フランソワーズ・デュール - ビリー・ジーン・キング・カップのプロフィール （英語）
フランソワーズ・デュール - 国際テニス連盟

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