フランソワ1世 (ヌヴェール公)

フランソワ1世・ド・クレーヴの生涯

フランソワ1世・ド・クレーヴ（François Ier de Clèves）は、1516年9月2日に生まれ、1562年2月13日に亡くなったフランスの貴族です。彼は、ヌヴェール伯爵（1521年 - 1539年）、ウー伯爵（1521年 - 1562年）、そしてヌヴェール公爵（1539年 - 1562年）という複数の爵位を保持しました。また、フランス王フランソワ1世とアンリ2世の宮廷で重要な地位を占め、政治的にも軍事的にも影響力を持った人物でした。

生い立ちと家督相続

フランソワは、ドイツのクレーフェ＝マルク公ヨハン1世の孫であるヌヴェール伯シャルルと、ルテル女伯マリー・ダルブレの間に生まれました。1521年に父が亡くなると、幼くしてヌヴェール伯爵の家督を継ぎました。その後、1539年にはヌヴェール伯爵位がヌヴェール公爵に昇格し、フランス王国の同輩公（Pairie de France）となりました。1549年には母マリーの死によりルテル伯爵領も相続し、1553年には母方の遠縁にあたるクロード・ド・フォワの死によってボーフォール伯爵領も手に入れました。

軍事における活躍

1537年、フランソワはアンヌ・ド・モンモランシー元帥によるサヴォイア公国への遠征に従軍しました。1551年には、アンリ2世と神聖ローマ帝国のプロテスタント諸侯であるザクセン選帝侯モーリッツとの間で締結されたシャンボール条約に基づき、フランス軍を率いて神聖ローマ皇帝軍と戦いました。ネーデルラント諸州での戦いでは、1552年4月10日にメス要塞を占拠することに成功しました。翌1553年には、オーストリア＝スペイン連合軍がシャンパーニュ地方に侵入した際、サンタンドレ元帥と共にこれを迎え撃ちました。

1557年のサン・カンタンの戦いでは、フランス軍がサヴォイア公エマヌエーレ・フィリベルト率いるスペイン＝イングランド連合軍に大敗しましたが、フランソワは辛うじて捕虜となるのを免れました。その後、ルクセンブルク地方で軍を指揮し、1558年1月にはギーズ公フランソワによるカレー占領と同時期に、ティオンヴィルを占領しました。この一連の戦争は、1559年のカトー・カンブレジ条約の締結によって終結しました。

宗教と晩年

1560年のアンボワーズ陰謀事件では、フランソワは陰謀の存在をいち早く察知した宮廷人の一人であり、陰謀の告発や首謀者の逮捕・処刑に積極的に協力しました。晩年にはカルヴァン派（改革派教会）に改宗し、1562年2月に亡くなりました。

結婚と子女

フランソワは1538年1月19日に、ルーヴル宮殿でヴァンドーム公シャルルの娘で又従妹のマルグリット・ド・ブルボンと最初の結婚をしました。マルグリットは後のフランス王アンリ4世の叔母にあたります。二人の間には6人の子供が生まれました。

フランソワ2世（1540年 - 1562年）：ヌヴェール公爵を継承
アンリエット（1542年 - 1601年）：1565年にマントヴァ公子ルドヴィーコ（ヌヴェール公爵）と結婚
ジャック（1544年 - 1564年）：ヌヴェール公爵を継承
カトリーヌ（1548年 - 1633年）：1560年にポルシャン公アントワーヌ3世・ド・クロイと結婚、後に1570年にギーズ公アンリ1世と結婚
* マリー（1553年 - 1574年）：コンデ公アンリ1世と結婚

1561年には、最初の妻マルグリットの従妹にあたるエストゥトヴィル女公およびサン＝ポル女伯マリー・ド・ブルボンと再婚しましたが、子供は生まれませんでした。

まとめ

フランソワ1世・ド・クレーヴは、16世紀フランスにおいて、政治、軍事、宗教と多方面で活躍した貴族でした。その生涯は、当時のフランスの歴史を語る上で欠かせないものとなっています。

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