フランツ・グルーベル

フランツ・グルーベル（Franz Gruber）は、フランツ・グルーバーという別表記でも知られる、1960年代から1970年代にかけて日本の映画やテレビドラマで活躍した俳優です。

俳優としての経歴

プロフィール上はアメリカ合衆国出身とされていますが、資料によってはドイツのミュンヘン郊外出身であったと伝えられています。彼が俳優の道を歩む前は、なんと寝具などのセールスマンとして働いていたという異色の経歴を持っています。

日本での活躍

彼の主な活動の場となったのは、日本の映像作品でした。特に、当時の日本で人気を博していた怪獣映画やSF特撮ドラマ、そしてハードボイルドアクションシリーズにおいて、外国人役として重宝されました。その存在感と個性的な演技は、多くの視聴者の印象に残っています。

特撮作品での出演

グルーベルは、日本の特撮作品史に名を刻むいくつかの作品に出演しています。映画では、大映制作の『宇宙大怪獣ギララ』でバーマン博士役を、『ガメラ対大魔獣ジャイガー』でトミーの父ウィリアム役を演じ、物語に深みを与えました。また、東映とラム・フィルムの共同制作『海底大戦争』ではブラウン中佐役を務めています。テレビドラマでは、円谷プロダクション制作のウルトラシリーズに複数出演しており、『ウルトラマン』第22話では地底人X役、『ウルトラセブン』第1話ではボガード参謀役を演じています。『ウルトラセブン』出演時の台本には、彼の所属事務所がペトロプロダクションであったことが記載されています。さらに、『マイティジャック』では立花博士の息子フリッツ役を、『怪獣王子』（ピープロダクション制作）ではオリバー博士を演じるなど、科学者や軍人といった役柄で、物語の重要な要素を担いました。

アクションドラマでの存在感

特撮作品と並んで、彼が特に存在感を発揮したのがアクションドラマです。『ザ・ガードマン』や『キイハンター』といった人気シリーズでは、主に外国人悪役として出演しました。これらの作品では、国際的な犯罪組織の一員やスパイ、ギャングのボスといった役柄を演じ、主人公たちの前に立ちはだかる強敵として、視聴者に強いインパクトを与えました。クールで威圧感のある佇まいは、当時のアクションドラマに欠かせないスパイスとなりました。

多様な役柄と晩年の活動

グルーベルが演じた役柄は、悪役にとどまりません。正義側の協力者、物語のキーパーソン、そして単なる外国人役など、そのバリエーションは豊かです。彼の出演は1970年代半ばまで続き、東宝のパニック映画『日本沈没』（国連委員役）や『ノストラダムスの大予言』（ニューギニア調査隊員役）、SFアクション『エスパイ』（逆エスパイ役）といった大作にも顔を見せています。

共演者

『海底大戦争』や『宇宙大怪獣ギララ』では、当時日本で活躍していたアメリカ人女優のペギー・ニールと共演しており、当時の日本の映画界における国際的な交流の一端を垣間見ることができます。

まとめ

寝具セールスマンから俳優へと転身したフランツ・グルーベルは、1960年代から70年代にかけての日本の映像界において、特に特撮やアクションといったジャンルで欠かせない外国人俳優として活躍しました。彼が演じた多種多様な役柄は、今なお多くの作品ファンに記憶されています。

もう一度検索