怪獣王子

怪獣王子

『怪獣王子』は、1967年10月から1968年3月にかけてフジテレビ系で放送された特撮テレビ番組です。日本特撮株式会社が製作し、ロッテがスポンサーを務めました。

概要

本作は、広告代理店の東急エージェンシーが設立した日本特撮株式会社の初のテレビ映画です。東急エージェンシーはフジテレビの月曜19時30分からの枠を持っており、『マグマ大使』に続き、この枠で制作されました。

タイトルは『怪獣王子』ですが、登場する怪獣の多くは巨大な恐竜です。主人公の少年がジャングルで行方不明になり、後に恐竜を乗りこなす少年として登場する設定や、武器がブーメランである点など、『少年ケニヤ』との共通点が見られます。また、造形の大橋史典が携わっていた『ジャングルプリンス』からの影響も指摘されています。

山口暁が演じるレンジャー部隊の西住三曹は、山口が以前出演した『忍者部隊月光』を意識したキャラクターです。レンジャー部隊を演じたJFA（ジャパン・ファイティング・アクターズ）は、土屋啓之助監督が顧問を務め、『007は二度死ぬ』にも参加したアクション俳優グループの草分け的存在でした。劇中に登場するレンジャー部隊は、土屋がアメリカのテレビ映画『コンバット!』を参考に設定したものです。

日本特撮株式会社の発足

『マグマ大使』以前、造形家の大橋史典にハリウッドのテレビ映画配給会社から仕事の依頼がありました。東急エージェンシーの上島一男プロデューサーは、これをビジネスチャンスと捉え、代理店として介入。アメリカ側は恐竜図鑑に出てくるような恐竜が登場するテレビシリーズを要望し、東急エージェンシーと契約を結びました。

しかし、大橋は当時、日本電波映画と専属契約を結んでいました。そのため、上島はピープロのうしおそうじ社長に協力を依頼し、うしおは大橋を一時的に匿いました。その後、『マグマ大使』が先行して制作され、上島はうしおに大橋の起用を要求し、キャラクター製作を依頼しました。

『マグマ大使』に続く企画として、『怪獣大作戦』という仮題で準備が進められました。上島はうしおに、ピープロを東急エージェンシー傘下企業にするよう働きかけましたが、うしおはこれを拒否しました。

その後、大橋が日本電波映画との契約問題で解雇されたため、上島は1966年に東急エージェンシーの特撮番組・映画を制作するための日本特撮株式会社を設立し、大橋を社長に据えました。そして、京都郊外に撮影スタジオを建設しました。

スタッフは他社からの引き抜きで構成され、監督には宣弘社の船床定男が抜擢されました。第1話では、東映京都のベテラン美術監督、鈴木孝俊を招き、映画並みのセットが組まれました。また、海外輸出を念頭に、第6話までは映画用の35mmフィルムで撮影されました。

相次ぐトラブル

制作には1年を費やしましたが、急ごしらえのプロダクションであったため、制作前から様々なトラブルに見舞われました。主役の恐竜「ネッシー」のぬいぐるみが動かなくなり、急遽、開米栄三と高山良策が呼ばれて改造することになりました。また、クランクインの挨拶で、大橋社長が船床監督を侮辱し、監督が交代する事態も発生しました。さらに、京都でのロケでは、地元との関係やスタッフ間の軋轢など、問題が続出しました。特撮スタッフも不足していたため、ピープロに助けを求め、特撮監督の小嶋伸介が参加することになりました。

放映の打ち切りと「日本特撮」の解散

制作の遅れから、放送開始がずれ込み、視聴率も伸び悩んだため、全26話で終了となりました。高山良策が制作した恐竜2体は撮影されず、お蔵入りとなりました。また、東急エージェンシーが京都へ招いたスタッフも職を失いました。スタッフの補償問題が発生する中、日本特撮株式会社は解散し、フジテレビの番組枠も手放すことになりました。

作中では、『マグマ大使』同様、清水寺などの名所旧跡が登場し、恐竜に破壊されるシーンがありました。

続編企画

『怪獣王子 海を渡る』という海外版の企画がありましたが、日本特撮株式会社が解散したため、実現しませんでした。

ストーリー

地殻変動で出現した火山島で、飛行機事故に遭い行方不明になったタケルは、恐竜に育てられ成長します。その後、海底地震の原因究明に訪れた父親と再会し、異星人との戦いを経て、家族と共に日本へ戻ります。タケルは、ネッシーと共に、ブーメランを武器に異星人と戦うことを決意します。

ネッシー

怪獣島の王者であり、火を吐き、タケルを助けて様々な侵略怪獣と闘います。ネッシーは火山島の溶岩の熱で卵から孵った突然変異と考えられています。

映像ソフト

VHS、LD-BOX、DVD-BOX、BD-BOXが発売されています。

もう一度検索