宇宙大怪獣ギララ

宇宙大怪獣ギララ

『宇宙大怪獣ギララ』は、1967年3月25日に松竹が公開した怪獣映画であり、松竹が制作した唯一の怪獣映画です。当時、東宝のゴジラシリーズや大映のガメラシリーズが人気を博す中、松竹は独自の路線で怪獣映画に参入しました。

ストーリー

宇宙空間で謎の発光体と遭遇した後、消息を絶った宇宙船の捜索のため、日本宇宙開発局の宇宙船「アストロボート」が宇宙へ飛び立ちます。月ステーションを経由して帰還する途中、再び発光体と遭遇し、未知の物質を浴びてしまいます。噴射ノズルに付着した発光体を地球へ持ち帰ったところ、それはカプセルから消え、代わりに奇妙な足跡が残されていました。

翌日、宇宙基地周辺に突如として怪獣が現れます。加藤博士によって「ギララ」と名付けられた怪獣は、エネルギーを求めて東京方面へ進み、都心を破壊していきます。自衛隊の攻撃も効果がなく、ギララは原子力発電所や水力発電所を破壊しながら巨大化し、ついには空を飛び回る火の玉となります。

一方、佐野たちは、白いかすに含まれる物質「ギララニウム」が、あらゆるエネルギーを遮断することを発見します。ギララニウムが月の岩石に豊富に含まれていることを知った佐野たちは、月へ向かい、ギララニウムを採取して地球へ帰還します。しかし、ギララは濃縮ウラン原子炉の核燃料を求めて宇宙基地に現れ、佐野たちは核燃料を使ってギララを基地の外へ誘導する作戦に挑みます。

概要

本作は、宇宙を舞台にしたSF映画として、他の怪獣映画との差別化を図りました。科学考証には光瀬龍が招かれ、前半では月面基地や宇宙空間でのメカ描写が細かく描かれています。しかし、月面基地に檜風呂が登場したり、恋愛ドラマが盛り込まれるなど、松竹映画らしい演出も散りばめられています。もっとも、謎の円盤の正体が明かされないまま終わるなど、ストーリー構成には課題も残りました。

怪獣デザインが決定した後、東急ホテルで製作発表会が開かれ、関係者が出席して大々的な宣伝が行われました。脚本準備稿では、当初マンモス植物が登場する予定でしたが、最終的にアストロボートの設定が盛り込まれ、SF色が強調されました。

キャスト

ヒロインを演じた原田糸子は、本作がデビュー2作目でした。公開に合わせて、出演者たちは孤児施設を慰問するなど、PR活動も行いました。

主なキャストは以下の通りです。

佐野：和崎俊也
道子：原田糸子
宮本：柳沢真一
加藤博士：岡田英次
リーザ：ペギー・ニール

スタッフ

特撮は、川上景司、渡辺明、小田切幸雄らによって結成された「日本特撮映画株式会社」が担当しました。また、東宝の特撮スタッフもアルバイトで参加していました。

主なスタッフは以下の通りです。

製作：島田昭彦
監督：二本松嘉瑞
特撮監督：池田博
脚本：二本松嘉瑞、元持栄美、石田守良
音楽：いずみたく

登場キャラクター

ギララ

謎の発光体が宇宙船に噴霧した胞子が、地球で怪獣化した姿。電気エネルギーを吸収して巨大化し、口から火球を吐き、赤い火の玉となって空を飛び回ります。弱点はギララニウムで、これを浴びると体が縮んでしまいます。

音楽

主題歌：「ギララのロック」（歌：ボニージャックス）
挿入歌：「月と星のバラード」（歌：倍賞千恵子）

海外展開

海外では『The X from Outer Space』という英語題名で公開され、ドイツでは『ギラ フランケンシュタインの悪魔』、フランスでは『イトカ 銀河の怪獣』として公開されました。

映像ソフト

DVD、Blu-ray Discが発売されています。

関連作品

『男はつらいよ 寅次郎真実一路』：寅次郎の夢にギララが登場します。
『ギララの逆襲/洞爺湖サミット危機一発|ギララの逆襲_洞爺湖サミット危機一発』：河崎実監督によるリメイク作品です。

『宇宙大怪獣ギララ』は、怪獣映画の黄金期に、松竹が独自の視点で制作した異色作として、今もなおその名を刻んでいます。

もう一度検索