フリソデウオ科

フリソデウオ科について

フリソデウオ科（Trachipteridae）は、アカマンボウ目に分類される海水魚の一群です。英語では「ribbonfish」と呼ばれ、これはそのスリムで帯状の特徴的な体形に由来しています。この魚たちは通常、深い海に生息しており、底生魚ではないため、生きた状態で目撃されることは極めて稀です。

物理的特徴

フリソデウオ科の魚は、非常に特異な身体的特徴を持っています。彼らの体は長く、平たいテープのような形状をしており、短い頭と小さな口、貧弱な歯が特徴です。特に興味深いのは、長い背びれで、これが背中の大部分を覆っています。しかし、尻びれは持たないのが一般的です。尾びれがない種も存在しますが、ある場合には尾びれが二つの鰭条から成り、その上部の鰭条は長く、上向きに突き出ています。胸びれは小さく、腹びれは数本の鰭条から構成されることもあれば、1本の長い鰭条として存在することもあります。この魚たちには、側線に沿ってとげがあり、皮膚には多数のこぶが見られます。これらの特徴はフリソデウオ科の魚が深海で生き延びるために必要な適応の一部です。

生息地域と観察例

フリソデウオ科の標本は、大西洋や地中海、さらにはベンガル湾、モーリシャス、太平洋でも発見されています。大西洋の標本は特にアイスランドやスカンディナヴィア、オークニー諸島、スコットランド周辺で採取されています。北大西洋に生息する種は、英語で「deal fish」、アイスランド語で「vogmar」、スウェーデン語で「vagmar」と呼ばれており、全長は約1.5メートルから3.5メートルに達します。冬季には、強風により海岸近くまで打ち寄せられることもあります。例えば、台湾の墾丁海岸では2007年11月に生きたままのサケガシラが発見されましたが、その際には側面に約10センチの傷を負っている状態でした。このように、フリソデウオ科の魚は非常に珍しい存在であるため、生態や行動についての知見は限られています。

また、台湾ではサケガシラが海底の変化を敏感に察知する能力を持つと信じられており、特に大きな地震が起こる前触れで現れることがあるため、「地震魚」と呼ばれています。

種の分類

魚類のデータベースFishBaseによると、フリソデウオ科には3つの属に属する10種が報告されています。具体的な種としては以下のようになります。

サケガシラ属（Trachipterus）

• - サケガシラ（Trachipterus ishikawae）
• - テンガイハタ（Trachipterus trachypterus）
• - Trachipterus altivelis
• - Trachipterus fukuzakii
• - Trachipterus jacksonensis
• - Trachipterus arcticus

フリソデウオ属（Desmodema）

• - フリソデウオ（Desmodema polystictum）
• - オキフリソデウオ（Desmodema lorum）

ユキフリソデウオ属（Zu）

• - ユキフリソデウオ（Zu cristatus）
• - Zu elongatus

フリソデウオ科は、深海の神秘に包まれた存在であり、その生態や行動に関する研究は今後も続けられるでしょう。

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