フリードリヒ4世 (オーストリア公)

フリードリヒ4世：「無一文公」と呼ばれたハプスブルク家の苦難と再興

フリードリヒ4世（1382年 - 1439年）は、ハプスブルク家のオーストリア公であり、「無一文公」という異名を持ちます。彼は、フォーダーエスターライヒとチロル伯領を領有し、その治世は内憂外患に満ちていました。

生涯：相続と領土の再編

フリードリヒ4世は、レオポルト3世の末子として生まれました。父の死後、兄弟たちと共に領土を分割統治することになります。1402年には、フォーダーエスターライヒの統治を任され、フライブルク・イム・ブライスガウに宮殿を置きました。1406年に兄ヴィルヘルムが亡くなると、チロルを与えられますが、共同統治という形でした。

オーストリア公としての苦難

治世の初期は、貴族の反乱や司教領での反乱に悩まされました。財政難から「無一文公」と呼ばれるようになります。アッペンツェル戦争への介入も失敗に終わり、領土の一部を失いました。しかし、バイエルン公の侵入を撃退するなど、防衛面での成功もありました。

領土の分割と教会大分裂

1411年にレオポルト4世が亡くなると、再び領土の分割が行われ、フリードリヒ4世はフォーダーエスターライヒに加え、アルザスの領主、ブルクアウ辺境伯となります。また、ハプスブルク・ラウフェンブルク家の断絶により、キーブルクを継承しました。しかし、ヴェネツィア共和国との国境紛争でロヴェレートとラガリーナ谷を奪われるという痛手も負いました。

教会大分裂においては、対立教皇ヨハネス23世を支持したことが、ローマ王ジギスムントの怒りを買い、帝国アハト刑に処せられます。これにより、西アールガウなどの領土を失い、ハプスブルク家の故地を手放すことになりました。

晩年：チロルの繁栄

1420年、フリードリヒ4世はチロル伯の宮廷をインスブルックに移し、支配を安定させました。銀の採掘が始まり、チロルは繁栄の時代を迎えます。兄エルンストの死後、甥のフリードリヒ5世（後の神聖ローマ皇帝フリードリヒ3世）とアルブレヒト6世の摂政としてインナーエスターライヒを統治しました。晩年には、チロルの反乱に苦しめられましたが、1439年にインスブルックで亡くなり、シュタムスにあるシトー会修道院に埋葬されました。

結婚と子女

フリードリヒ4世は二度の結婚をしました。最初のエリーザベトとの間には娘が生まれましたが、すぐに母子ともに亡くなりました。二番目のアンナとの間には、二男二女が生まれましたが、成人したのはジークムントのみでした。ジークムントが父の遺領を継ぎました。

フリードリヒ4世は、苦難の時代を生き抜きながらも、チロルの繁栄の礎を築いた人物として、歴史に名を残しています。

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